産褥期における各種血中ステロイド値の経日的変化像について

概要

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妊娠中母体血中に著増する各種ステロイド値の産褥期における変化像を検討する為に以下の実験を行なった.対象としては,正常の妊娠及び分娩経過をとった産褥婦人7人について,分娩直後より経目的(24時間ごと)に母体末梢血を採取し以下の測定をし検討を加えた.即ち遊離型及び抱合型のPregnenolone(P_5と略す,以下同様),16α一hydroxypregnenolone(16P_5),dehydroepiandrosterone(DHA),16α-hydroxy-dehydroepiandrosterone(16DHA),estrone(E_1),estradiol(E_2),estriol(E_3)及びestetrol(E_4)並びに遊離型のcortisol(F),progesterone(P_4),16α一hydroxyprogesterone(16P_4)及び20α-dihydro-progesterone(20P_4),計20種類の分娩直後及び産褥7日目までの母体血中ステロイドの消槌像を検討した.これらの総てのステロイドは分娩の第1日後には分娩直後の約60%以下に急減したがその減少程度はステロイドの種類により異なり,且つその後の減少像にも相違があり産褥5〜7日では約60%或はそれ以下の低値まで下降するステロイド群(A群:遊離型及び抱合型のP_5,4estrogens,progesterone系並びに抱合型の16P_5と遊離型16DHA)と,下降度の比較的少ない,つまり産褥5〜7日でも分娩直後の約30〜50%の比較的高値を保つステロイド群(B群:F,遊離型及び抱合型DHA,遊離型16P_5と抱合型16DHA)とに大別出来た.1)A群のうちC_<18>ステロイド(E_1,E_2,E_3,E_4)は遊離型と抱合型ともに分娩後1〜2日以内に5%以下に,5日後には約1%以下の低値(遊離型がそれぞれ1/20.1/30.1/30.1/10抱合型がそれぞれ1/200,1/300,1/400,1/40)まで急減した.P_5の遊離型及び抱合型並びに抱合型16P_5は分娩後1〜2日で約10%の値に低下し,以後はほぼその値を保つ.Δ^4-C_<21>ステロイド(P_4,16P_4,20P_4)はC_18ステロイドよりもやや遅れて減少し,16P_4は2日後,20P_4は4日後,P_4は更に遅れて5日後にそれぞれ10%以下に低下し,7日目ではそれぞれの約1/20.1/30.1/10の値まで減少した.2)B群ではF,抱合型DHA及び遊離型16DHAは分娩直後のそれぞれの値440,120,120ng/mlより2〜3日後にそれぞれ150,50,35ng/ml減少し,その後はほぼこの値を保つだ.更に遊離型と抱合型の両者の型で存在するものは両名を合わせて総量(total)として,産褥7日目までの減少率を検討した.3)主に胎児一胎盤系で生成されるステロイド群(A群:Δ^5-C_<21>系,Δ^4-C_<21>系及びC_<18>系)と胎児一胎盤系はもとより母体も大きく関与すると思われるステロイド群(B群1Δ^5-C_<19>系及びF)では消褪像が異なり産褥7日目の減少率の平均値は前者4%,後者25%で前者の減少程度は後者に比べて明らかに大きいことから,妊娠中に増量する各種ステロイドの産生部位の違いが示唆された
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1983-10-01

産褥期における各種血中ステロイド値の経日的変化像について

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