産褥期睡眠障害とマタニティブルーズの経時的推移に関する研究

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[目的]産褥期における睡眠障害のマタニティブルーズ(以下MB)発症に及ぼす影響につき以下の研究を行った.[対象と方法]健常な経産婦16名, 初産婦27名で, 入院1週間を含め産褥4週間の1日睡眠時間を記録した.MBに関してはSteinの質問票を使用し, Steinの定義する8点以上を1日でも示したものをMB群, 8点未満をコントロール群とした.睡眠内省については寝付き, 持続感, 熟眠感, 中途覚醒につき10段階スケールを用いて計測した.[成績]1)MB尺度得点は, 産褥1日よりMB群で有意に高くその傾向は産褥4週まで同様であった.睡眠時間は産褥4週間までMB群はコントロール群より短縮していた.2)MB群をさらに, 入院中に8点以上を示した群をMBA群, 退院後に初めて8点以上を示した群をMBB群に分別したところ, 睡眠時間はMBB群では産褥2日よりコントロールに比し有意に短縮し, 退院後さらなる短縮を認めたのに対し, MBA群はコントロール群と差は認めなかった.3)睡眠内省得点はコントロール群に比しMBA, MBB群で高値を示し, MBA群は退院後一時改善する一方, MBB群は退院後急速に悪化した.また, 持続感, 熟眠感, 中途覚醒は, 各郡でMB尺度得点と正の相関を認めた.[考案]従来, MB発症は産褥3〜5日で発症し, 多くは2週間以内に症状の改善を示すとされているが, 今回産褥7日目以降に発症するMBB群は産褥早期からの睡眠不足と睡眠感の悪化がその発症に深く関与し, 産褥早期から睡眠障害を伴うことが, MB尺度得点, 睡眠内省得点を数量化し, 相互の関係から初めて明らかとなった.MBB群は産褥期うつ病などの精神障害に移行する可能性があり, 入院中の睡眠障害の改善が産褥期精神障害発症の予防に繋がる可能性が示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
2000-04-01

産褥期睡眠障害とマタニティブルーズの経時的推移に関する研究

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