前方視的な手法による妊娠末期の子宮頸管熟化と分娩経過に関する研究 : 第2報妊娠末期のBishop scoreと分娩経過ならびに新生児所見

概要

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日本人妊婦における妊娠末期のBishop scoreと分娩経過ならびに新生児所見につき検討を加えた.調査方法と調査対象については第1報に述べたとおりである.分娩を終了した症例を除いて検討すると, 妊娠35週から39週における経産婦のBishop scoreの平均値や中央値は初産婦に比べ有意の高値であった.また, 分娩した症例と頸管熟化の良好な症例とを合わせた頻度は, 妊娠38週から40週の間に急激に増加した.妊娠37週におけるBishop scoreが2点以下の症例は経産婦に比べ初産婦で有意に多かった.妊娠37週以降には, Bishop score9点以上と分娩終了の症例の和が初産婦に比べ経産婦でつねに多く, 妊娠38〜40週では有意差を認めた.妊娠37〜39週における初産婦と経産婦において, Bishop scoreと妊娠持続期間, 分娩I・II期所要時間, 帝王切開術施行, 羊水混濁や新生児Apgar scoreとの間には負相関が認められた.Bishop scoreの各因子別の推移を検討すると, 初産婦, 経産婦ともに硬度の変化から始まるが, 次に初産婦では児の下降度, 経産婦では子宮口の開大に変化が起こること, さらに妊娠38週から39週にかけて初産婦では子宮口の開大, 膣部の展退, 児頭の下降度が進行し, 一方経産婦では3因子に加えて硬度の変化も進むことが示唆された.また, 妊娠37週時のBishop scoreが3点以上の症例を2点以下の症例と比べると, 初産婦と経産婦ともに妊娠持続期間と分娩I・II期所要時間が有意に短かった.さらに初産婦においては帝王切開の割合も有意に減少していた.分娩が無事に終了した症例の妊娠末期における頸管熟化について知るために, 分娩終了時点から溯って1週間ごとにBishop scoreの変動を解析すると, 初産婦では分娩直前になって急速にBishop scoreが上昇すること, 経産婦ではかなり前から熟化している症例の多いことが観察された.本邦の妊婦について妊娠末期におけるBishop scoreの変化と分娩経過につき系統的に調査した成績はない.今回, 多数の症例を前方視的に検討することにより, Bishop scoreの推移と妊娠・分娩の転帰との関連性について, 客観的かつ平均的な指標が初めて得られた.その結果, 頸管熟化は妊娠38〜40週頃に急速に進むと考えられること, および妊娠37週においてBishop scoreが3点以上であれば2点以下の症例に比べ分娩がスムースに終了する可能性が高いことが示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
2001-12-01

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