子宮頚部腺癌の組織型推定に関する細胞学的検討
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概要
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頚部腺癌73例をWHO分類に準じて分類した上で、各組織型別に細胞配列、核形状、核クロマチソ所見、核小体所見などの細胞学的特徴について比較検討した。さらに、腺扁平上皮癌については、出現する癌細胞を定型的腺癌細胞、非定型的腺癌細胞、中間型癌細胞、定型的扁平上皮癌細胞、非定型的扁平上皮癌細胞の5種類に分類し、それらの出現頻度を検討した。これらの結果をもとに、頚部腺癌の組織型推定の可能性につき考察を加え、以下の結論を得た。(1)頚部腺癌73例における各組織型の出現頻度は、頚管型腺癌54.8%(高分化型19.2%、中等度分化型13.7%、低分化型21.9%)、類内膜腺癌9.6%、明調細胞癌4.1%、腺嚢胞癌0%、腺扁平上皮癌31.5%であった。(2)細胞配列、細胞形状、クロマチーパターン、核小体所見などの各細胞学的所見の出現分布状態は、頚管型腺癌の分化度と密接に関連していた、したがって腺癌の分化度はこれらの所見を注意深く観察することによって推定可能になると考えられた。(3)類内膜腺癌の細胞学的特徴は、頚管型腺癌のそれと本質的には差異はなく、両者を細胞学的に鑑別することは困難であった。(4)明調細胞癌の特徴は、シート状の細胞配列、多稜系の細胞形状、円形の核、細顆粒状のクロマチン・パターン及び肥大核小体の出現であった。特に肥大核小体は顕著な所見であり、ほかの所見に付随して認められるとき、その診断的価値は高かった。(5)腺扁平上皮癌に関しては、むしろ出現細胞の形態学的多彩性が特徴であり、この組織推定には腺性格あるいは扁平上皮性格をもっているとはいえない中間型癌細胞に注目することが重要と思われた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-01-01
著者
-
長谷川 和男
兵庫県立成人病センター産婦人科
-
望月 眞人
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
望月 眞人
神戸大学医学部産婦人科
-
大津 文子
兵庫県立成人病センター産婦人科
-
武内 久仁生
兵庫県立成人病センター産婦人科
-
衣笠 万里
兵庫県立成人病センター
-
竹内 康人
兵庫県立成人病センター産婦人科
-
赤堀 泰一郎
赤堀病院産婦人科
-
大津 文子
兵庫県立成人病センター
-
赤堀 泰一郎
兵庫県立成人病センター産婦人科
-
常盤 洋一
兵庫県立成人病センター産婦人科
-
常盤 洋一
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
竹内 康人
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
常盤 洋一
神戸大学医学部産婦人科学教室
-
長谷川 和男
兵庫県立成人病センター婦人科
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