漬物の有機酸に関する研究 : 第1報 : 各種漬物の有機酸組成について
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概要
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10種の市販漬物について各種有機酸含有量をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより定量した。キウリ浅漬にはリンゴ酸が116.6mg/100g含まれており,クロマトグラフィーにおける全滴定値に対するリンゴ酸区分滴定値の比率は50%以上を占めた。ピログルタミン酸82.6mg/100g,乳酸26.2mg/100gがこれについだ。ナス浅漬に含有される有機酸では乳酸がもっとも多く108.1mg/100gで酢酸が次いで多かった。キャベツ,ハクサイ塩漬に含まれる有機酸としては乳酸が多くそれぞれ127・3mg/100g,195.0mg/100gであった。また,ピログルタミン酸も多くそれぞれ134.9mg/100g,138.3mg/100gであった。酢酸含有量は45及び30mg/100g程度であった。タカナ塩漬中の主たる有機酸は乳酸で,419.2mg/100g含有されており,これは滴定値比率で全有機酸の78%に相当した。酢酸は44.3mg/100g含まれており12.4%に相当した。ヒノナ塩漬には酢酸が多く含まれており,2試料の定量結果では258.1及び340.0mg/100gで全滴定値に対する酢酸区分の滴定値の比率は65%以上を占めた。乳酸含有量も比較的多く81.3及び153.6mg/100gであった。タクアンは3種の異なった型の試料について分析した結果試料間の差異が大きかったが,いずれの試料でももっとも多く含まれていたのは乳酸であった。製造期間の短いものには多種類の有機酸が比較的平均して含まれており,製造期間の長いものは乳酸,酢酸含有量が多く他の有機酸が少い傾向がみられた。終りに臨み有機酸分析の御指導を賜った大阪大学工学部上田隆蔵博士に深甚の謝意を表する。本研究の経費の一部は大阪府私立短大協会個人研究助成費によった。
- 日本調理科学会の論文
- 1969-05-20
著者
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