後天性血友病Aに対し,プレドニゾロン投与とDFPP(double filtration plasmapheresis)が奏功した血液維持透析患者の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例:62歳,男性.既往歴に出血傾向なし.特記すべき家族歴なし.2009年7月より良性腎硬化症による慢性腎臓病で血液維持透析導入となり,当院で透析通院していた.2012年7月頃から透析終了後の止血に時間を要するようになり,7月某日表在化動脈止血困難,1時間半の圧迫で止血し,帰宅するも再出血のため同日来院し入院.次の定期透析では左上腕から胸部にかけての皮下出血と腫脹,疼痛著明のため再入院となった.凝固機能の検査をしたところ,活性化部分トロンボプラスチンの延長と第VIII因子活性の著明な低下,さらに第VIII因子インヒビター10BU/mLと異常を認めたことより,後天性血友病Aと診断した.治療として止血療法はバイパス療法,インヒビター除去にはプレドニゾロン30 mg/日の内服としたが,60歳以上のためステロイドの早期離脱が望ましく,また第VIII因子インヒビターは自己抗体であることから,double filtration plasmapheresis(DFPP)を併用した.DFPPは計6回施行し,第VIII因子インヒビターは検出されず,止血も正常化と経過良好で治癒退院した.本症例に対しては,低用量ステロイド療法とDFPPによる第VIII因子インヒビターの除去が有効と考えられた.
- 一般社団法人 日本透析医学会の論文
著者
-
新田 孝作
東京女子医科大学 第4内科
-
土谷 健
東京女子医科大学第四内科
-
土谷 健
東京女子医科大学医学部内科学(第四)
-
小松 水樹
常磐病院腎臓内科
-
粟野 啓子
常磐病院腎臓内科
-
岡崎 真之
常磐病院腎臓内科
-
常盤 峻士
常磐病院泌尿器科
-
川口 洋
常磐病院腎臓内科
関連論文
- エリスロポエチン不応性貧血にダルベポエチンが奏効した赤芽球癆, 副腎機能不全合併の長期透析患者の1例
- 冠動脈バイパス術, 僧帽弁人工弁置換術後の低心機能透析患者に両室ペーシング機能付き植え込み型除細動器を装着し良好なADLを維持している1症例
- シナカルセトの二次性副甲状腺機能亢進症改善が腎性貧血に及ぼす効果
- 血液透析患者におけるヘモグロビン変動:Epoetin BetaとDarbepoetin Alfaの比較
- 尿素回路異常症による高アンモニア血症に対し急性血液浄化が有効であった2症例
- 人工血管移植術後に溶血性貧血をきたした透析患者の1例
- 非特異型から虚脱型に形態変化をきたした巣状糸球体硬化症の一例
- mPGES-1ノックアウトマウスを用いた鉄代謝蛋白hepcidinの調節機能の検討
- MPO-ANCA関連血管炎の臨床病理学的アプローチによる腎病態の検討
- 慢性血液透析患者における Toll-like 受容体とシグナル伝達関連遺伝子発現