非特異型から虚脱型に形態変化をきたした巣状糸球体硬化症の一例

概要

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症例は28歳女性。15歳時に健診で初めて尿蛋白を指摘され当院腎小児科受診。初診時より尿蛋白0.5g/日程度で経過していたが、17歳時に1.0g/日まで増加し、腎生検を施行された。3/43個の糸球体に係蹄壁の癒着を伴う分節状の硬化を認め非特異型の巣状糸球体硬化症と診断された。アンギオテンシン変換酵素阻害薬、抗血小板剤を投与されたが、通院は不定期で25歳以降受診しなかった。28歳時倦怠感を自覚し当科紹介受診。初診時クレアチニンは1.5mg/dlと軽度上昇し、血清総蛋白5.4g/dl、アルブミン 2.9g/dl、尿蛋白4.3g/日とネフローゼ症候群を呈していた。腎生検の結果9/23個の糸球体で係蹄壁の肥厚と係蹄腔の狭小化を伴い、上皮の増生と変性、泡沫状変化を認め虚脱型の巣状糸球体硬化症と診断した。虚脱型の巣状糸球体硬化症はHIV腎症との関連が深く黒人に多いとされている。特発性の虚脱型巣状糸球体硬化症に関する報告は本邦では少なく、またその中でも本症例のように非特異型より虚脱型に変化した報告例は特に稀有と考えられる。
2009-06-25