ピックアップ式タックメーターによる粘着性測定
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概要
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未加硫ゴムの粘着挙動を高分子レオロジーの立場から研究する目的で, ピックアップ式タックメーターにより各種ゴムの定速ハク離試験をおこない, いろいろな条件で最大ハク離力とハク離後の痕跡面積を測定した. その結果, まず痕跡面の表面状態は一様でなく, 同心円的にだいたい3種類の濡れの程度のちがった部分が区別され, それぞれの面積をS, S1およびS2とすると一般に実験条件によらずS∞S1∝S2, (S>S1>S2) (1)のような直接比例関係のあることがわかった. また接触時間, tp, をかえると痕跡面積, S, も最大ハク離力, F, も変化するがその関係はそれぞれS=S∞(1-e-tp/τp) (2)F=F∞(1-e-tp/τp) (3)によって近似されることが判明した. S∞, F∞およびτpはtpによらない定数である. ぬれ面積増大の速度過程と, 応力緩和実験でえられる緩和彈性率との関係を半定量的に考察した結果, 両者の速度過程は共通の因子, すなわちゴム分子易動度によって支配されるということがわかり, さらに粘着面をとおして部分的に相互拡散したゴム分子が粘彈性的にふるまうと考えれば, ハク離挙動のハク離速度依存性や最大ハク離応力, F/S2, の値と凝集破壊応力との関係についての実験事実が一応矛盾なく理解されることを示した. また粘着面の凹凸状態とハク離挙動との関係は, 一応残留応力の緩和現象によって説明されることを示した.
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