不均質二成分混合系の粘弾性挙動の新記述方法 : 多成分系のレオロジー (第1報)
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概要
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分子状には混合していないが巨視的には混合しているような高分子系のなかで, 例えば, ゴム〜充てん剤系, 無定形高分子〜微結晶系あるいは一部のポリマーブレンド系などのように, 非連続相成分が連続相成分にくらべて著しく変形しにくいような混合系についてその力学的性質に関する混合法則を求めることを理論的に試みた.<BR>先ず非連続相成分である分散粒子と連続相成分であるゴム状ポリマーとの界面における相互作用を, 分散粒子径のみかけ上の増大および連続相における自由容積の減少という2つの効果によって近似的に表現し, 次に巨視的には両相の変形量の和が混合系の変形量に等しくなるとして, 結局複素コンンプライアンス, <I>J<SUP>*</SUP></I>(ω), について次のような混合法則がえられることを示した.<BR><I>J<SUP>*</SUP><SUB>bl</SUB></I> (ω) =φ<SUB>1</SUB><I>J<SUP>*</SUP></I><SUB>1</SUB> (λ<SUB>1</SUB>ω) +φ<SUB>2</SUB><I>J<SUP>*</SUP></I><SUB>2</SUB> (λ<SUB>2</SUB>ω) <BR>ここに添字<I>bl</I>, 1および2はそれぞれ混合系, 非連続相成分および連続相成分をあらわし, φおよびλは両相問の相互作用や両相の混合比などによって変化するパラメターである.上述のような混合系では上式右辺第1項の寄与は第2項のそれにくらべて無視できるから, φ<SUB>2</SUB>およびλ<SUB>2</SUB>の値は実験的に簡単に求めることができる.また, 分散粒子径のみかけ上の増大は非連続相成分のみかけ上の容積分率, ν<SUB><I>e</I></SUB>, が<BR>(φ<SUP>2</SUP>/λ<SUB>2</SUB>)= [1- (ν<SUB><I>e</I></SUB>/0.74)] <SUP>2.5</SUP><BR>によって与えられることから定量的に評価することができる.<BR>既発表の代表的な実験例に対してこの混合法則を適用してみたところ, かなり高精度で一般的な適合性をもつものと期待される結果がえられた.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文
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