微生物の生産する溶菌性物質に関する研究 : (第4報)一溶原性枯草菌の分泌するリゾチーム様酵素の結晶化とその卵白リゾチーム,ファージ及びバクテリオシン様物質などとの作用比較
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概要
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(1) 一溶原性枯草菌の分泌する細菌リゾチームとも称すべき溶菌性酵素をイオン交換樹脂を用いて精製純化し粗結晶を得たが,その蛋白mg当りの溶菌活性は卵白リゾチームの約1/5であった. (2) 細菌リゾチームは卵白リゾチームに比して基質細菌(B. subtilis及びM. lysodeikticus)に対する吸着性を異にするばかりでなく,溶菌曲線,粘度上昇等の溶菌様式も異なり,両酵素の混合により促進作用が認められた.なお基質細菌の多糖類区分の分解作用に於ては基質特異性及び分解機構を異にすることが分った. (3) 細菌リゾチーム,ファージ及びバクテリオシン様物質の3者の作用を振盪培養及び平面培養などで比較し,溶菌曲線,カップ法による阻止円の形成などが夫々異ることを知った.而して溶菌性酵素によっては阻止円の形成は殆ど認められないのでファージ検出法としてのplaque count法に於て,ファージ試料として非無菌的なものを用うる場合でも溶菌酵素の影響は殆どないものと考えられられることを知った.なお本菌株の生産するファージはM. lysodeikticusに対しても最初のplaque countに於てはproductive infectionを行いplaqueを形成するが,そのplaqueから更にplaqueを再現することの出来ないのは異種の宿主細菌を通過することによっておこるファージの変異性に基づきabortrive infectionがおこるのではないかとえ考られた.
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