慢性活動性肝炎患者に認められるリンパ球障害性因子について
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概要
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慢性活動性肝炎患者の血清について,自己または非自己リンパ球を標的細胞として細胞障害試験を行った結果,患者血清はこれらのリンパ球を高率に障害した.一方,慢性非活動性肝炎患者や正常人の血清でも同様の細胞障害試験を行ったが,細胞障害性はほとんどみられなかった.慢性活動性肝炎患者の血清中にみいだされた,この細胞障害性因子は,血清中の免疫グロブリンM分画に属するものであった.また,本因子の至適反応温度が15℃であったこと,さらに,胸腺細胞に対する障害性も高いことなどから,本因子はこれまでにSLE患者やNZBマウスの血清中に証明されているT細胞障害性自己抗体と同一の性質を有するものであると推測された.慢性活動性肝炎患者の血清中にこのような因子が存在することは,同疾患での末梢血T細胞の減少や,細胞性免疫能の低下と何らかの関連性を有するものであると思われる.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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