肝細胞癌におけるγ-GTPアイソザイム
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概要
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肝細胞癌(以下肝癌)では血清および肝癌細胞内に肝癌に特異的なγ-GTP isozymeが存在するが,この生化学的性状を明らかにするために実験を行なった.血清のpolyacrylamide gel Disc electrophoresisにより肝癌患者の54%に陽極側より2番目のbandが出現した.この活性帯は,他の肝疾患ではみられなかった.一方肝癌組織のγ-GTPはHusebyの方法に準じて抽出を行ない,Sephadex G-200, Concanavalin A, DEAE celluroseの各column chromatographyにかけた.その結果,肝癌特異γ-GTPはCon Aに対して非吸着であった.この肝癌特異γ-GTPをneuraminidase処理することによって,電気泳動的にその易動度は遅くなった.次で,血清および肝癌組織より抽出したγ-GTPにbromelain処理を加えたのちに,電気泳動を行なうと高分子γ-GTPの活性帯が消失し,肝癌特異γ-GTP isozymeに一致する1本の明瞭な活性のみとなった.<BR>また,SDS polyacrylamide gel electrophoresisにより,肝癌特異γ-GTPは分子量が約2万と4万のsubunitから構成されていることが示唆された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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竹本 忠良
山口大学医学部内科
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沖田 極
山口大学医学部先端分子応用医科学消化器病態内科学
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佐々木 まゆみ
山口大学医学部第一内科
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児玉 隆治
山口大学医学部第1内科
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松田 彰史
山口大学医学部第1内科
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森本 哲雄
山口大学医学部第1内科
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佐々木 まゆみ
山口大学医学部第1内科
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