クロロフィル及びそ誘導体含有量から見た市販緑茶の品質と特質
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概要
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Chl及びその誘導体の含有量から見た市販緑茶の品質と特質について検討したところ,以下の結果が得られた。<BR>(1)茶種別に見ると,蒸熱時間の短い,覆い下茶である抹茶,玉露ではChl(a+a)及び(b+b)の含有量は多く,反対にPhy(a+a)及び(b+b)の含有量は少なかった。また,ChlのPhyへの変化率は少なく,さらには,Chl(a+a)に対するChl(b+b)の存在比も小さかった。これに対し,深蒸し煎茶では全く逆の結果を示した。煎茶はそれらの中間に属し,上級なもの程抹茶,玉露に近く,下級なもの程深蒸し煎茶に近かった(図1参照)。<BR>(2)級別に見ると,(a)Chl(a+a)及び(b+b)の含有量は,抹茶,玉露,煎茶では上級なもの程多く,反対に深蒸し煎茶では少ない傾向にあった。(b)Phy(a+a)及び(b+b)の含有量は,全ての茶種において上級なもの程少ない傾向にあり,その差も顕著であったことから品質評価の指標になりうることが示唆された。(c)ChlのPhyへの変化率は,深蒸し煎茶を除く茶種,特に玉露と煎茶において上級なもの程小さい傾向にあり,その差も顕著であったことから品質評価の指標となりうることが示唆された。(d)Chl(a+a)及び(b+b)の含有量の存在比は,深蒸し煎茶を除く茶種において上級なもの程小さい傾向にあった。特に,煎茶ではこの差が顕著であったことから品質評価の指標になりうることが示唆された。<BR>各色素類の含有量をもとに市販緑茶の品質評価を行う際は,上述の結果を併用することでより精度を高めることができるものと思われる。ただし,深蒸し煎茶では各色素類の含有量から品質評価を行うことは難しいと思われる。
- 日本茶業技術協会の論文
著者
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木幡 勝則
農林水産省野菜・茶業試験場
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木幡 勝則
農研機構野菜茶研
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堀江 秀樹
農林水産省農業環境技術研究所:(現)農林水産省野菜茶業試験場
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山内 雄二
大阪大 大学院
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山下 陽市
農林水産省野菜・茶業試験場
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山内 雄二
農林水産省野菜・茶業試験場
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木幡 勝則
農林水産省 野菜・茶業試験場
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山内 雄二
農林水産省 野菜・茶業試験場
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堀江 秀樹
農林水産省 野菜・茶業試験場
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