心理的距離の測定および変容に関する基礎的研究 : 生徒の性格特性と教師との心理的距離の関連性(原著)

概要

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近年,生徒と教師の間に存在する心理的距離の分析が試みられ,両者の心理的距離の決定要因として,生徒の性格類型が関与していることが示唆された(山口ら,1991)。特に,生徒と養護教諭の心理的距離の設定においては,生徒の性格類型が大きく影響を及ぼしていることが明らかにされた。本研究では,生徒とさまざまな教師との心理的距離の取り方に影響を及ぼすと思われる生徒の性格特性を検討することを主な目的とした。生徒の性格特性を客観的に測定するため,矢田部・ギルフォード性格検査が用いられ,また,被験生徒はさまざまな教師との心理的距離を評定するよう求められた。その結果,男子生徒においては,協調性特性および社会的外向性特性と心理的距離は有意な相関を示し,一方,女子生徒では一般的活動性特性と心理的距離は有意な相関を示した。すなわち,協調性と外向性に富む男子生徒は,教師との心理的距離を身近で親密であると認知し,他方,女子生徒では活動性が高い生徒が教師との心理的距離を親密に設定していることが明らかとなった。本研究の結果を考慮し生徒と教師との心理的距離を変容するような教育の指導方法の検討がなされた。
日本行動療法学会の論文
1992-09-30