一次視覚野神経回路網における興奮性と抑制性信号の競合特性についてのシミュレーション解析

概要

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一次視覚野内では興奮性細胞と抑制性細胞からなる神経回路網が形成されている.この視覚野内の神経回路構造を明らかにするために,我々は,マウス一次視覚野の神経活動をCa^<2+>イメージング法を用いて計測した.その結果,抑制性シナプス伝達を遮断した状態においては,興奮性信号が0.01〜0.03m/sの速度で層構造に対して水平方向に伝播することを示した.本研究では,この水平方向の伝播にどのような生理学メカニズムが関与するかを解明するために,神経シミュレータNEURONを用いて,興奮性細胞を短距離及び,長距離水平結合によって相互結合させた一次元での神経回路ネットワークをモデル化し,電流注入を与えたときの細胞膜電位応答及び,細胞内カルシウム濃度についてシミュレーション解析した.その結果,我々が行った生理学実験で観測された興奮性信号の伝播を再現するパラメータ値を推定することができた.これは,興奮性と抑制性信号のダイナミックな競合が視覚野内のサブネットワークを形成しているという可能性を示唆している.
2011-02-28