パン生地における冷凍障害(自然科学)

概要

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パン生地における冷凍障害の機構を分子レベルで明らかにすることを目的とし,パン酵母の耐冷凍性および冷凍パン生地における膨化・酵母の発酵能,パンの品質評価の研究を行った。パン酵母について,冷凍耐性のものと冷凍感受性のものを用いて検討したところ,次の結果が得られた。酵母を温度条件を変えて培養後,冷凍すると,酵母は次第に死滅していった。この現象は冷凍貯蔵前の培養温度が高く培養時間が長いほど顕著であった。また,冷凍温度が高く,冷凍期間が長いほど酵母の生存率が低下した。これらのことより,冷凍前の酵母の生育状態および冷凍条件がその後の酵母の生育に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。パン生地の膨化速度は冷凍期間が長くなると低下し,酵母の生存率測定結果と一致した。CO_2発生量測定によるドウ中の酵母の発酵能にも冷凍の影響が見られた。しかし,パンを焼いた時の品質評価においてはパン生地調製条件の影響がほとんど見られず,パン生地の冷凍貯蔵に対する影響は単なる酵母の生育状態だけで議論できないことを示唆する結果となった。
鈴鹿短期大学の論文