鶉卵構成成分の育種学的分析 : I.相関および多重回帰分析による6形質の統計的パラメータの推定について

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鶉卵に関する育種学的知見はほとんど得られていないので今後の育種素材の把握という意図から,その構成成分(卵長径:X_1,卵短径:X_2,卵黄重:X_3,卵白重:X_4,卵殻重;X_5,卵重:X_6,卵型係数:X_7)について統計的推定値を求め,それらについて相関および多重回帰分析を行なった。I.統計的推定値について各形質の平均値は卵長径(X_1)=3.03cm±0.14,卵短径(X_2)=2.40cm±0.08,卵黄重(X_3)=2.94g±0.36,卵白重(X_4)=5.64g±0.50,卵殻重(X5)=0.83g±0.09,卵重(X_6)=9.74g±0.87,卵型係数(X_7)=0.792±0.03であった。卵重についてはわが国で一般的に言われている値10〜12gに比して小さい値であった。また卵型係数は鶏卵に比して,かなり大きな値を示し,鶉卵はいわゆる丸い卵であることが判明した。卵黄重と卵白重の推定値から鶉卵は鶏卵に比して卵黄分が多く,卵白分が少ないことがうかがわれた。重さに関する形質では変動係数が大きく,特に卵黄重と卵殻重で著しく,これらの形質では個体変異が大であることが示唆された。反復率は卵長径:0.55,卵短径:0.58,卵黄重:0.89,卵白重:0.82,卵殻重:0.57,卵重:0.97で重さに関する形質についてはすべて0.8以上の値を示した。卵重では著しく高い値を示している。これよりこれらの形質では相加的な遺伝子作用が大であることが示唆された。II.各卵形質についての相関および多重回帰分析について単純相関係数では,かなり高い正の相関を表わしているのに偏相関係数では高い負の相関を表わすものが存在することが判明した。特に卵長径(X_1)と卵短径(X_2)および卵黄重(X_3)と卵白重(X_4)とは偏相関係数がそれぞれ-0.890,-0.845の値を示した。また卵殻重(X_5)が卵重(X_6)を除くすべての形質との偏相関が負であることが明らかにされた。卵重変異が他の形質で説明される割合が変数増加法による多重回帰分析によって調べられた。全形質で説明する場合99.4%まで説明され,外部形態形質(X_1,X_2)だけでもっては97.5%,内容形質でもっても97.5%説明されることがうかがわれた。また内容形質を外部形態形質だけでもって説明する場合は卵黄重については70.8%,卵白重については79.3%説明されることがうかがわれた。個体ごとに変数増加法で多重回帰分析を行なった際のR^2の上昇度に遺伝的支配があるのではないかという暗示が得られた。
帯広畜産大学の論文
1971-05-30

鶉卵構成成分の育種学的分析 : I.相関および多重回帰分析による6形質の統計的パラメータの推定について

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