北海道のホルスタイン集団における種雄牛

概要

論文の詳細を見る
乳牛雌牛集団の遺伝的改良の基礎的育種情報を得るため,種雄牛能力とその使用頻度の関係からその実態を調べた.北海道の乳検資料から1975年以後に分娩し,1980年3月までに乳期を完了したホルスタイン種初産牛47,535頭の記録を用いた.扱った形質は,月1回検定から推定した2回,305日搾乳の成牛換算した乳量,乳脂量,乳脂率,そして,泌乳中の体重測定値である.各形質の種雄牛評価値は,種雄牛間の血縁を考慮したHENDERSONによるBLUP法を用いて求めた推定伝達能力である.仮定した線形モデルは牛群•年次,種雄牛の誕生年次による年齢グループ,年齢グループ内種雄牛,そして残差の各要因を含むものであり,遺伝率は乳量と乳脂量に対しては0.25を,乳脂率と体重に対しては0.50を仮定した.外国国籍の5頭を除く,娘牛記録を20以上持つ182頭の種雄牛評価値とその娘牛頭数の間の順位相関は,乳量,乳脂量,乳脂率,および,体重において,それぞれ,-0.02,0.06,0.16,0.34であり,産乳能力よりも体を大型にする種雄牛が好んで使用される傾向が強いことが示唆された.種雄牛の伝達能力における産乳形質と体重の相関は低く,-0.02〜0.09と推定された.また,北海道では,その遺伝的能力が後代検定で判明していない若い雄牛でも広範に使用されていることが明らかにされた.以上の結果から,より正確なAI種雄牛評価が適用されるべきであり,乳牛群検定からの育種情報はこの乳牛集団の遺伝的改良に不可欠であることが示唆される.
社団法人日本畜産学会の論文

北海道のホルスタイン集団における種雄牛

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク