ホルスタインにおける縦断2値データを使用した雌牛の受胎率に影響する遺伝的および環境的要因

概要

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本分析では，縦断2値の授精データを使用し，閾値・線形アニマルモデルから受胎率の遺伝的パラメータ，育種価および各種の環境効果を推定した．1988年から2002年生まれの雌牛の受胎率の表型値は平均55.84％から47.24％に低下した（−0.57％/年）．受胎率の遺伝率と反復率は各々3.2％と5.7％と小さく，残差分散は89.8％を占めた．受胎率は，乳量，授精月齢，牛群サイズおよび種雄牛の供用年に対して低下，授精日数に対して上昇を示した．難産はその後の受胎率を低下させる要因であった．牛群・年次・季節の推定値から分娩年の推移をみると，受胎率は低下を示し，乳量の影響を補正しても低下傾向に変化はなかった．受胎率の近交退化は，近交係数1％当たり−0.29％，乳量の影響を補正すると退化傾向はさらに明確になった（−0.38％）．雌牛と種雄牛の遺伝的趨勢は−0.58％/年と−0.32％/年，乳量の影響を補正すると受胎率の遺伝的な低下は有意（P ＜ 0.01）に緩慢になった（各々−0.24％/年と＋0.03％/年）．それ故，受胎率の遺伝的低下は，分娩年に対する乳量の増加と関係があるものと推察された．
社団法人日本畜産学会の論文
2010-05-25