北海道の乳用種雄牛評価における3種の評価モデルの比較
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概要
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BLUP法による種雄牛の評価において,評価値を要因分割し,雌牛の多重記録の扱いおよび交配牛の補正を検討した.また,種雄牛評価値を用いて,北海道の雄牛集団の特徴を明らかにした.用いた資料は,北海道の乳検データで,1975年から1981年度までの7年間に分娩した初産の記録の有る129,601頭からの延べ280,136の記録である.評価に用いたモデルは,初産記録のみを用い,要因として牛群•年度と種雄牛グループおよび種雄牛効果を含むSfモデルと,雌牛の5産次までの多重記録を用い,Sfモデルの要因にさらに雌牛効果を含むSaモデル,および,初産記録を用いて雌牛の父と母方祖父を同時に評価するMGSモデルの3種類である.いずれのモデルにおいても,種雄牛間の遺伝的関係を考慮するために,分子血縁行列を利用した.したがって,Sfモデルによる評価値は娘牛平均,牛群補正,面縁補正に分割され,SaモデルはSfモデルの3種の要因に加えて雌牛補正に分割された.また,MGSモデルはSfモデルの3種に加えて交配牛補正に分割された.得られた結果は,次の通りである.1. 分割要因の変異からみると,評価値に対して貢献の大きい順に挙げれば,娘牛平均,牛群補正,血縁補正,交配牛補正あるいは雌牛補正であった.血縁補正は種雄牛の娘の頭数が少ないときには重要であるが,増加すると血縁補正による差は小さいものであった.2. 2産以降の記録を反復記録として扱うSaモデルの評価値をMGSモデルの評価値からの差とした場合,この差と娘牛当りの平均記録数との間に正の相関,差と種雄牛の誕生年との間に負の相関が認められた.3. MGSモデルとSfモデルの評価値間の相関は,娘牛が100頭以上の種雄牛において,0.99と高いものであった.したがって,娘牛数の多い種雄牛の評価値において交配牛(母牛)の能力的偏りの影響は小さいものと推察された.4. 北海道で生産された種雄牛をその産乳能力からみた場合,能力的に高い米国からの輸入種雄牛劣るカナダからの種雄牛の中間に位置し,両系列を混合して生産する傾向にあることが示唆された.また,娘牛の頻度から種雄牛の利用傾向をみると,産乳能力の低いカナダからの輸入種雄牛が1頭当りの娘牛が多く,輸入牛が重視される傾向にあった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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光本 孝次
帯広畜産大学畜産管理学科家畜育種増殖学研究室
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鈴木 三義
帯広畜産大学畜摩管理学科家畜育種増殖学講座
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鈴木 三義
帯広畜産大学畜産学部家畜育種増殖学教室
-
鈴木 三義
帯広畜産大
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光本 孝次
帯広畜産大学家畜育種学教室
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光本 孝次
帯広畜産大学畜摩管理学科家畜育種増殖学講座
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