乳牛の体格と乳量との関連性に対する多変量解析

概要

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1949年から1976年まで,農林省新冠種畜牧場で生産されたホルスタイン若雌牛の記録に基づいて,体の大きさ及び体型を乳牛として総合評価するために,主成分で表わした初期成長段階の体の大きさと体型間の遺伝的関連性と,それらの総合評価と産乳形質間の遺伝的関係を検討した。さらに,初期成長段階での主成分を用いて乳量の予測を試みた。体測定形質は,13形質であり,生時,4,8,12,16及び24か月齢の6時期に測定された資料を用いた。乳生産形質は,乳量,乳脂量,乳脂率の3形質である。これらの記録に基づいて分析し,以下の結果を得た。1)6時期で推定された第1主成分は,体の大きさの特性値として解釈され,第2主成分は,幅の広い,高さの小さい体型,あるいは幅の狭い,高さのある体型と解釈された。全体の体格変動に対する第1,2主成分の説明度合は,約70%であった。2)生時とその後の月齢での体の大きさ間の遺伝・表型相関係数は,月齢が進むにつれて増加傾向を示したが,4か月齢以降の推定値は減少傾向を示した。それゆえ,生時での体の大きさは,成長時の形質発現の潜在的要素がすでに反映されると考察されるが,4か月齢以後では,その限りではなかった。3)大柄な若雌牛は,その後の月齢で,全体的な大きさに対し,幅の狭くなる傾向が認められた。幅の広い,高さの小さい体型では,その後,小柄で胸部の小さい体型となる傾向が示された。4)生時での体の大きさと乳生産形質間の遺伝・表型相関係数は,最も高い正の推定値が得られた。一方,幅の広い,高さの小さな体型は,産乳形質と負の関係が示された。これらの結果より,初期成長段階から,成長時年齢までに,体の大きさ,幅そして胸部間に,遺伝的拮抗作用が存在することが示唆された。乳量を予測するために,各月齢での主成分が用いられた。初期成長段階での主成分を用いた場合,乳量の変動の34%,24か月齢の体の大きさの変動の65%が説明された。したがって,若齢時体型の総合評価を,直接,乳量を予測する育種情報とするには,やや困難を伴うが,成長時の体の大きさあるいは体型を予測することを介して,乳量を逐次選抜するための付加的情報となる可能性が示唆された。
帯広畜産大学の論文
1978-10-31

乳牛の体格と乳量との関連性に対する多変量解析

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