導入育種下におけるホルスタインAI種雄牛の血統情報の分析

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米国HFAAのSire Summariesにおける種雄牛の記録に基づいて,米国における血統構造と北海道における血統構造の比較を行った。さらに米国の種雄牛生産過程における交配様式について分析を試みた。形質として,乳脂率,乳量,乳脂量,体型に対するそれぞれのPDを用い,総合能力指数を加えて5形質を用いた。これらの各形質に対する種雄牛の記録から父親と母方祖父の遺伝的能力を推定した。各形質間の相関係数では,体型と乳量間に-0.37の負の値が推定され,また,乳量と総合能力指数間に0.66の最も高い正の値が推定された。父親及び母方祖父の遺伝的能力に関しても同様の傾向が推定され,各形質の遺伝的特徴を有する父親及び母方祖父が認められた。4世代の血統図から,米国と北海道における血統構造の比較において,北海道では,カナダ系の著名な2頭の種雄牛と血縁関係にある構造を示していた。現在の種雄牛に対して最も近い血縁であり,種雄牛の遺伝的能力を推定するのに関連の深い父親と母方祖父の米国と北海道の出現頻度とその遺伝的能力の比較から,北海道において相対頻度の高い父親及び母方祖父における血統構造は主に体型において選抜圧を加わえた結果であると示唆された。北海道の血統構造では,体型の優秀な祖先牛に偏ることが推察された。これらの結果から,導入により,乳量に対する遺伝的改良量を増加させるための候補種雄牛の計画生産と選定の必要性が示唆された。育種システムの発展した米国での種雄牛生産過程における交配様式から,総合能力指数と乳量において遺伝的能力を有する父親と母方祖父から生産された種雄牛に高い育種価が推定された。北米における血統的な遺伝情報の詳細な研究は,導入育種下において,AIセンターにおける若種雄牛の計画生産と選定にかなりな貢献度をもつと共に,酪農家においては改良目標を達成するための最適な交配に重要な示唆を与えるものとなろう。
1980-05-30

導入育種下におけるホルスタインAI種雄牛の血統情報の分析

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