家畜集団中の遺伝的負荷 : II. 乳用山羊について
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概要
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近交退化の現象は畜産学的意味ばかりでなく,入類の福祉に貢献する生物集団の維持を考えるとき重要な問題となっている.この近交退化の直接の原因となるのは潜在的な有害遺伝子,すなわち遺伝的負荷である.筆者は,この遺伝的負荷の量を各種動物について定量的に推定しておくことが近交退化の問題を論ずる場合重要であると考え,ここでは農林省長野種畜牧場に飼養されている乳用山羊Saanen種集団について遺伝的負荷の推定を試みた.最初に,集団の有効な大きさ,移入率,近交係数,平均血縁から期待される近交係数,死亡率などの年次変化を見たところ,1958年ごろを境としてかなり条件が異なることを見い出した.そこで遺伝的負荷の推定は全期間(1947年-1967年)と後半の期間(1958年-1967年)とについて別個に行ない,後者についてより信頼のおけると思われる値が得られた.遺伝的負荷の量は接合体当り0.4-0.5致死相当量と推定され,この値はさきに推定したわが国Holstein種乳牛における遺伝的負荷量と大差はなかった.また間性遺伝子を遺伝的負荷と見た場合には致死相当量の上限は接合体当り1.17となる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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