<国立科博専報>隠岐島後の中期中新世初期海成珪藻土

概要

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隠岐島後久見層の珪藻土25試料を検鏡し, 各珪藻種の層位分布を明らかにするとともに, その生層序学的・古海洋学的意義を検討した。全試料より37属112種・変種を識別した。同珪藻土は, Coscinodiscus endoi, Denticulopsis hyalina, D. hustedtii, D. lauta, D. nicobarica, Goniothecium tenue, Mediaria splendida, Rouxia californica や Synedra jouseana の層位分布から中期中断新世初期に位置づけられる。特に, 同珪藻土上部には D. hustedtii の初出現と D. hyalina のアクメが存在する。珪藻群集は大きく2分される。下位から上位を代表する群集では, Actinocyclus ingens が 30% 以上産出する。そして同種に Coscinodiscus marginatus, D. hyalina, D. nicobarica, D. lauta, D. sp.1,R. californica, S. jouseana, Thalassionema hirosakiensis, T. nitzschioides, T. nitzschoides var. parva, Thalassiothrix longissima を加えると全組成の 80∿90% はこれらの種が占める。なお同群集は, 温暖種・寒冷種・汎存種の混合である。一方, 最上位の群集は, T. nitzschioides の多産とともに D. hustedtii をはじめ寒冷種を多く含むことで先述の群集とは区別される。そしてこのような群集組成の変化は, 前期中新世未期から中期中断世にかけての海洋環境の寒冷化の反映であると解釈される。
国立科学博物館の論文
1986-12-01