琉球列島西表島の地質

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西表島の地質層序は, 下位からツムル層, 宮良層, 由布火山岩類, 八重山層群, 租内礫岩, 琉球石灰岩, 段丘礫層に区分される。古生層と考えられるツムル層は藍閃片岩からなり, 黒色片岩や再結晶した石灰岩レンズをともなう。本層は島の北東端にのみ分布する。今回はじめて認められた宮良層は, 後期始新世の大型有孔虫を多産する石灰岩からなり, ツムル層を不整合におおって, 島の北東部ヨナラ川上流にわずかに露出する。由布火山岩類の下半部は, 主に安山岩質の火山角礫岩からなり, 上半部は火山礫凝灰岩や角礫凝灰炭からなる。そして流紋岩の熔岩や玄武岩の岩脈をともなう。これと宮良層の関係は不整合らしい。この上位にくる八重山層群は, 下位より礫岩・礫質砂岩, 層理の発達した砂岩, 斜交層理の発達した厚い砂岩, 砂岩と炭質泥岩の薄互層, 厚い砂岩, および砂岩・泥岩の互層に岩相区分される。本層群は島の大部分を構成し, ゆるい褶曲を呈しながらも, 全体として西側に傾動した構造を示す。産出した植物化石および従来の資料から, 本層群の時代は中新世と考えられる。八重山層群を不整合におおう租内礫岩は, 島の西側にのみ分布し, 砂岩や石灰岩の円礫をふくむ。石灰岩礫からは, 中新世の大型有孔虫が知られている。これらをすべて不整合におおって, 琉球石灰岩が海岸線に平行して断続的に分布する。これは主に生物遺骸からなるが, 下部では八重山層群に由来する砂岩の礫をふくむことが多い。さらに, 段丘礫層が琉球石灰岩をおおうけれども, 琉球石灰岩の分布しないところのものは, 琉球石灰岩よりも古い可能性がある。西表島における層序区分は, 石垣島のそれに全くよく一致する。しかしながら, 琉球石灰岩と段丘礫層をふくむ段丘堆積物については, より詳細な検討が必要であろう。
国立科学博物館の論文

琉球列島西表島の地質

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