口之島, 中之島, 諏訪瀬島(吐〓喇列島)の火山岩の岩石化学

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吐〓喇列島に属する新生代火島12島の中で, 更新世以降の火山活動でできた口之島・中之島・諏訪瀬島の3島の火山岩を調査した。口之島産18試料, 中之島産16試料, 諏訪瀬島産10試料について, 微量成分12元素と主成分の分析値を示した。岩石は玄武岩質安山岩からデイサイトにわたる。安山岩は一般に多量の斑晶を含む。斑晶は斜長石, 単斜輝石, 斜方輝石が主で, 僅かに磁鉄鉱を伴う。口之島の火山岩の大部分と中之島の火山岩の一部に角閃石斑晶がみられる。角閃石を含まない安山岩は橄欖石斑晶を含むことがある。岩石の総化学組成は SiO_2 54wt% から 65wt% で, 現在も活発な噴火活動を続けている諏訪瀬島には SiO_2 61wt% 以上の火山岩はみられない。主成分・微量成分ともに角閃石安山岩と輝石安山岩との間に大きな相違はない。ただし, 口之島の角閃石安山岩は Ca に乏しく, 諏訪瀬島の近年の噴出物は Cr と Ni に富む。元素 /K-Si/K 変化図では Al/K と Ca/K, に明瞭な, V/K と Zn/K にやや明瞭な左下りの変化経路められる。前三者の並行した左下りの変化経路が認は, 斜長石の結晶分別作用が卓越してマグマの組成変化が生じたことを示唆する。インコンパチブル元素の, 始源マントル組成による規格化パターンは, Rb, K, Zr, Y が隣接元素より高く, Nb, P, Ti が低い。このパターンは3島の火山岩に共通している。諏訪瀬島の火山岩は, 主成分元素の変化幅が少さいことと対応して, このパターンの変動幅も狭い, Sr/Ca-Ba/Ca 図では, 部分融解線から小しはなれた位置から, ゆるやかな右上りの曲線状に分析値がプロットされる。これは本源マグマがある程度分別作用を経てから地表への噴出が行われ, マグマ溜りの中で主に斜長石の結晶分別作用が行われて, マグマの組成が変化したことを示す。主成分と微量成分のいずれの変化においても, 3島の火山岩はよく似ていて, マグマの始源物質, 生成過程, 変化経路もほとんど同じであると解釈される。
国立科学博物館の論文

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