高知県松尾鉱山産サ***石

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高知県香美郡香北町松尾にある松尾鉱山の弱広域変成層状マンガン鉱床の, 高品位鉱石中の副成分鉱物として産するサ***石(Mn_2[OH|B_2O_4OH])を記載した。この鉱物を含む鉱石は, 少量の閃マンガン鉱・ハウスマン鉱のほか, 多量の"ヤコブス鉱"(光学的非等方)・アレガニー石および菱マンガン鉱を含む, 暗いチョコレート色塊状のもので, サ***石は, 最大長 0.5m, 巾 0.01mm 内外のせんい状結晶の集合体として, やや淡色径数 mm に達する斑点状, あるいは菱マンガン鉱とともに細脈をなして産し, 集合体は多少とも定方位に配列されており, その分布が層状構造をなしている可能性がある。鏡下でわずかに多色性を示し, X=無色, Y=ほとんど無色, Z=淡帯褐桃色。直消光, 伸長性負。光学的二軸性負。(一)2V 約20°。分散r>v。屈折率α=1.673,β=1.728,γ=1.732。X線粉末回折値は EPPRECHT ら(1959)の結果を参考にして指数配当を行ない, 斜方晶系として, a_0=12.78A, b_0=10.69A, c_0=3.253A を得た。なお与えられた指数は, 空間郡 P2_12_12_1,Pnn2_1 および Pnnm の消滅則を満足している。また, これらの諸性質からは, 単斜晶系であるという確証は得られなかった。本鉱は, 広域変成作用以前は, マンガン鉱床に濃集されていたマンガンと硼素とが結合して, 低変成度広域変成作用による変成鉱物として生成されたものと考えられ, これら元素は, 本鉱床に付近に塩基性岩の存在がみとめられていることから, 塩基性岩と海水との反応によってもたらされたと考えられる。本鉱やこれに近縁の wiserite のような, 含水マンガン硼酸塩鉱物は, くわしい検討を行なえば, 緑マンガン鉱・パイロクロアイト・ハウスマン鉱・菱マンガン鉱などを含む, 比較的低原子価高品位マンガン鉱中に普通に見出されるであろう。

高知県松尾鉱山産サ***石

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