女川層の珪質頁岩

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概要

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東北地方日本海側に, いわゆる珪質頁岩あるいは硬質頁岩とよばれる地層が広く分布している。それは主に細粒のクリストバライト様シリカ鉱物からなる堆積岩で, 石英や長石の砕屑性粒子や粘土鉱物を少量ふくみ, 自生の海緑石やドロマイトもふくむことがある。珪質頁岩は野外においては珪藻土や珪藻質泥岩と互層する産状を示し, ときには珪藻土へと水平方向に移化することもある。変質あるいは再結晶作用の進んでいない場合には, 鏡下で珪藻殻が観察される。珪質頁岩と珪藻土の化学組成を比較すると, 後者でアルミナがより多い傾向はあるものの, ほとんどが高シリカで似た特徴を示す。したがって, 珪質頁岩を構成するシリカ鉱物は, 珪藻殻に由来すると考えられる。日本海の拡大にともなう海域の変化, 珪藻の高生産量をもたらす湧昇流などが, 特異な珪質堆積岩相の形成を支配したのであろう。日本海の生成・拡大の考察には, 珪質頁岩の生層序学が現在最も重要である。
国立科学博物館の論文
1984-12-01

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