中–後期更新世における古カトマンズ湖珪藻の古群集生態:―浮遊性・底生群集の生産性・種多様性変遷―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Planktonic and benthic diatom assemblages in the Paleo-Kathmandu Lake, Central Himalaya, were examined to reveal predominant factors of productivity and species diversity between 600 and 15 ka. The productivity of planktonic diatoms fluctuated synchronously with Milankovitch cycles, and increased during interglacial and interstadial periods. This is probably because of variations in nutrient loadings from the catchment area controlled by the Indian monsoon climate (especially wet and dry) changes. In contrast to planktonic diatoms, the productivity of benthic diatoms tended to increase during glacial and stadial periods. The increases in benthic diatom productivity seem to be attributable to lake-level declines and associated habitat diversification (increases in resources) on the lake bottom. On the other hand, species diversity (number of taxa and evenness) of planktonic diatoms did not respond directly to global climate changes, and was characterized by a very low average from about 600 to 300 ka, accompanied by the formation of monospecific assemblages by Cyclotella kathmanduensis and Puncticulata versiformis. Probably, the very low average species diversity is attributable to less frequent lake-level declines (ecological disturbances), which may have allowed C. kathmanduensis and P. versiformis to dominate through competition processes on glacial and interglacial time scales. Species diversity of benthic diatoms remained high from 600 to 15 ka. However, the number of taxa and evenness (two component factors of species diversity) of benthic diatoms were negatively correlated and varied with lake-level fluctuations. For example, the number of taxa increased and evenness decreased with lake-level declines. It is suggested that benthic diatoms increased the number of taxa and decreased evenness when using and competing for increased resources in shallow habitats.
著者
-
谷村 好洋
国立科学博物館地学研究部
-
桑原 義博
九州大学大学院比較社会文化研究院環境変動部門
-
牧 武志
九州大学大学院比較社会文化学府
-
大野 正夫
九州大学大学院比較社会文化研究院
-
山中 寿朗
岡山大学大学院自然科学研究科
-
林 辰弥
国立科学博物館
-
谷村 好洋
国立科学博物館古生物学研究室
-
藤井 理恵
京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地質学鉱物学教室
-
酒井 治孝
京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地質学鉱物学教室
-
萬福 真美
九州大学大学院比較社会文化研究院環境変動部門地球変動講座
-
桑原 義博
九州大学大学院比較社会文化研究院環境変動部門地球変動講座
-
大野 正夫
九州大学大学院比較社会文化研究院環境変動部門地球変動講座
関連論文
- 地球深部探査船「ちきゅう」の下北半島沖慣熟航海コア試料 : 物性変動から予測される古環境変動
- 地球深部探査船「ちきゅう」の下北半島沖慣熟航海コア試料の年代モデル
- 高レベル放射性廃棄物地層処分におけるベントナイト緩衝材変質現象に関する最近の研究と今後の研究展開
- 宮城県花山付近の鮮新世珪藻質泥岩
- 湖沼堆積物における古環境指標としての珪藻化石 : 現状と課題
- 長崎県大村湾の表層堆積物に認められた珪藻被殼の鉛直混合
- 沿岸域における珪藻遺骸群集と化石群 : 大村湾におけるセディメント・トラップ実験結果
- 20世紀における東京湾プランクトン珪藻の遷移
- 東京湾表層堆積物中のプランクトン珪藻
- P-237 古カトマンズ湖堆積物に記録された過去60万年間のインドモンスーン変動史 : 年代モデルの再検討(26.第四紀地質,ポスター発表,一般講演)
- 古カトマンズ湖の誕生と縮小(29.第四紀地質)
- インドモンスーン地域では北大西洋地域より約4000年早く退氷期が始まった : 古カトマンズ湖プロジェクト最新レポート(29.第四紀地質)
- カトマンズ盆地とバイカル湖における第四紀後期の古植生と古気候(第11回国際花粉学会議(XI IPC)参加報告)
- P-296 古カトマンズ湖堆積物中の珪藻化石群集の分析に基づく中央ヒマラヤの第四紀後期の古気候・古環境変動史(32. 第四紀地質)
- IODPEpx.306(North Atlantic Climate 2)における生層序学的成果(18.新生代古生物)
- 相対地球磁場強度を使った北大西洋 高解像度古海洋学 : ODP Expedition 306の成果(8.海洋地質)
- Melosira属の珪藻の特徴的な種類 : 日本の完新世におけるマリーンリミットの指標
- 日本海の後期第四紀珪藻と古海況 (最終氷期における日本列島の動植物相と自然環境特集号)
- ヘッケル放散虫コレクションの調査と再検討
- 微化石の科学, Microfossilis, second edition, H.A.アームストロング・M.D.ブレイジャー著, Haward A.Armstrong, Martin D.Brasier, 池谷仙之・鎮西清高訳, 朝倉書店, 2007年6月25目発行, 変形A4版, 276pp. ISBN978-4-254-16257-8, 9500円(税別)
- 北浦表層堆積物中の珪藻分布
- 太平洋におけるThalassionema属珪藻の分布
- Ehrenberg (1854)によって記載された日本産二種のタイプ標本
- 極めて保存良好な中期更新世着生珪藻Arachnoidiscus ornatus : その化石化過程
- 珪藻Aulacoseira属の種組成・形態変化と湖沼水質変化 : 過去300年間の北浦における例(29.第四紀地質)
- 東京湾産珪藻Cyclotella atomusの新変種, C. atomus var. marina
- 浅い湖における沈降粒子の挙動と珪藻殻堆積過程 : 北浦におけるセディメントトラップ実験結果
- 珪藻の生と死を見つめる
- O-250 珪藻化石群集変化が示す北浦の人為的水質変化(32. 第四紀地質)
- P-210 珪藻類による湖沼水質環境変化の復元 : 茨城県北浦の例
- O-407 琵琶湖における過去 4 万年間の環境変動に対する珪藻群集の応答
- 国立科学博物館における珪藻標本の受け入れについて
- 珪藻Paralia sulcataの増減からみた大陸系混合水の消長 : 東シナ海北東部の最終氷期 : 後氷期海洋環境
- 対馬北端に分布する海老島石灰岩層の形成環境と年代の考察
- 古カトマンズ湖ボーリングコアの珪藻化石の研究(予報) (総特集 古カトマンズ湖とモンスーン変動)
- 珪藻化石による年代決定とその応用 (総特集 高精度年代決定法とその応用--第四紀を中心として) -- (4章 生物化石を用いる年代決定)
- 「微化石標本のリファリンス・センター」としての自然史博物館
- 阿武隈山を中山とする地域の自然史科学的総合研究
- 阿武隈山地東縁の相馬中村層群のジュラ紀砂岩
- 珪藻群集の季節変動 : 北西太平洋におけるセジメント・トラップの結果(1986年8月∿1988年11月)
- 南極リュッオ・ホルム湾における海水と海氷中の珪藻, およびそれらの底質中での保存
- Micropaleontological Reference Center について
- 隠岐島後の中期中新世初期海成珪藻土
- 北西太平洋産, 後期第四紀海棲珪藻
- 古カトマンズ湖の堆積物に記録された気候変動とテクトニックイベント
- 湖沼の珪藻化石を考える(ふぉっしる)
- カンボディア国トンレサップ大湖の湖沼学的調査について(予報)
- カワウおよびサギ類繁殖地土壌中における無機態窒素含量と安定同位体比の時系列変動
- AFMによる鉱物表面微細凹凸像および格子像の観察法とその問題点
- 硫酸イオンの現場捕集濃縮法を用いた屋久島の渓流河川における硫黄同位体比の測定
- O-413 古カトマンズ湖に記録された過去5万年の環境変動(34. 第四紀,口頭発表,一般講演)
- 最終氷期最盛期前後の日本海の表層環境
- P-129 セジメントトラップを用いた北浦の現行堆積過程の解析(17. 堆積作用・堆積過程,ポスター発表,一般講演)
- 現場型マンガン分析装置の小型軽量化と設置連続観測の実例
- 最終氷期最盛期前後の日本海の表層環境
- 中-後期更新世における古カトマンズ湖珪藻の古群集生態 : 浮遊性・底生群集の生産性・種多様性変遷
- 断層破砕帯における帯磁率異常に伴うγ線量の変化
- 日本海の後期第四紀珪藻と古海況 (最終氷期における日本列島の動植物相と自然環境特集号)
- 中–後期更新世における古カトマンズ湖珪藻の古群集生態:―浮遊性・底生群集の生産性・種多様性変遷―
- 湖沼堆積物における古環境指標としての珪藻化石—現状と課題—