湖沼堆積物における古環境指標としての珪藻化石<BR>—現状と課題—
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概要
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珪藻化石の個体サイズについて,分類学,生態学,古環境学の視点から議論した.珪藻の個体サイズは,無性増殖によって減少し,有性生殖によって回復する.一方で,個体サイズは環境要因にも影響され,その地質学的な時間スケールでの変化は,環境変化に対する珪藻と生態系全体の応答や生存戦略の進化の面で注目される.琵琶湖湖底ボーリングコアの解析結果によれば,<I>Stephanodiscus suzukii</I>の個体サイズは完新世よりも約2~1万年前の退氷期に大きかった.また,珪藻の個体サイズに強く影響すると考えられる有性生殖の頻度は,<I>Aulacoseira nipponica</I>ではとくに退氷期において,それ以前以後と比べ数十倍にもなった.珪藻化石において古環境復元の指標を確立するためには,まず,このような変化を記載し,他の指標から推定された環境の変化と照らし合わせて,生態系の変化を議論していくことが必要だろう.
- 日本第四紀学会の論文
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