マレイシア国サラワク州におけるマレーグマ(Helarctos malayanus)の繁殖周期
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概要
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マレイシア国サラワク州に位置するセメンゴ野生動物リハビリテーションセンターにおいて, 単独飼育されていたマレーグマ(Helarctos malayanus)雌2頭の泌乳が観察された.これらのマレーグマは受入後1年以上経過しており, その間1度も雄と同居させたことはなかった.そのため, マレーグマにおいて偽妊娠が起こる可能性が示唆され, 卵巣周期の観察が必要であると考えられた.そこで, 広く応用されるようになった糞中プロジェステロンの定量を継続的に1年間, 単独飼育の雌3頭を対象にして実施した.その結果プロジェステロン値の動態は3頭の雌で差がなく, 本調査地で雨季にあたる時期にプロジェステロン値のピークが観察された.また, 泌乳の有無を不動化後に確認した結果3頭すべてで泌乳が確認された.以上の結果からサラワク州内に分布するマレーグマは, 雨季に同調した繁殖期がある可能性が示唆された.また, 単独飼育状態でプロジェステロン値が上昇し, 泌乳が見られたことから, マレーグマは自然排卵動物で偽妊娠が起こることが確認された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2001-03-25
著者
-
大沼 学
国立環境研究所
-
大泰司 紀之
北海道大学大学院獣医学研究科生態学教室
-
鈴木 正嗣
北海道大学大学院獣医学研究科
-
大泰司 紀之
酪農学園大学環境システム学部生命環境学科
-
大沼 学
京都大学霊長類研究所人類進化モデル研究センター
-
大沼 学
セメンゴ野生動物リハビリテーションセンター
-
鈴木 正嗣
兵庫県森林動物研究センター
-
鈴木 正嗣
北大 歯
-
鈴木 正嗣
北海道大学・歯学部・第1解剖学講座
-
大沼 学
(独)国立環境研究所
-
大沼 学
北海道大学大学院獣医学研究科
-
大沼 学
(独)国立環境研究所環境研究基盤技術ラボラトリー環境生物資源研究室
-
大泰司 紀之
北海道大学
-
Suzuki M
北海道大学大学院獣医学研究科生態学教室
-
Suzuki Masatsugu
Laboratory Of Wildlife Biology Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
-
Ohtaishi Noriyuki
Laboratory Of Wildlife Biology The Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
-
Ohtaishi Noriyuki
Laboratory Of Wildlife Biology Department Of Environmental Veterinary Sciences The Graduate School O
-
Ohtaishi Noriyuki
Department Of Environmental Veterinary Science Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido Unive
-
Suzuki Masatsugu
Laboratory Of Wildlife Biology The Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
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