八重山諸島に生息するカンムリワシから得られた寄生蠕虫類および節足動物

概要

論文の詳細を見る
2001年から2009年にかけて八重山諸島石垣島および西表島で回収された計38個体のカンムリワシSpilornis cheela perplexus Swann 1922について，寄生虫学的検査を酪農学園大学野生動物医学センターにおいて実施した。その結果，線虫7種(Eucoleus contortus, Baruscapillaria falconis, Aonchotheca caudinflata, Porrocaecum angusticolle, Procyrnea leptoptera, Microtetrameres accipiter, Synhimantus sp.)，吸虫3種（Basantisia ridwani, Strigea microbursa, Neodiplostomum georgesduboisi），鉤頭虫1種（Centrorhynchus spilornae），ハジラミ1種（Craspedorrhynchus sp.）とウモウダニ1種（Artamacarus sp.）の計13種の寄生蠕虫類および節足動物が得られた。得られた寄生虫のうち，E. contortus, B. falconis, A. caudinflata, P. leptoptera, M. accipiter, Synhimantus sp．およびArtamacarus sp．はカンムリワシからの新宿主記録であり，今回得られた全ての内外寄生虫は亜種リュウキュウカンムリワシからの初記録であった。またE. contortus を除く全ての寄生虫は八重山諸島における初記録となったが，多くは他の日本国内或いは東南アジア地域にて既に報告されているものであり，八重山諸島に固有のものかは不明である。