ラッコ Enhydra lutrisの頭蓋および犬歯の形態学的成長解析
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概要
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カムチヤッカ半島ロパトカ岬で自然死したラッコ Enhydra lutris の頭蓋 460例を用い,頭蓋骨および犬歯の発育・成長に伴う形態学的変化を,絶対成長・相対成長の観点から解析した.計測は頭蓋 20部位,犬歯 6部位で実施した.相対成長の解析では,頭蓋全長に対する各部位の相対成長係数を直線回帰分析により算出した.ほとんどの頭蓋の形質において,2歳未満の平均値の増加量,変動係数ともに最大であることから,2歳までに成長を停止すると考えられた.犬歯では歯根は1歳まで急速に成長するが,歯冠は萌出時にほぼ完成され年齢に伴い減少する傾向が認められた.歯冠の変動係数は6歳頃より大きくなり,これはこの時期から咬耗の影響が顕著になることを示唆していた.個体変異は摂食,呼吸および嗅覚に関する形質で大きい傾向にあり,脳頭蓋に関する形質では小さかった.ほとんどの形質で性差が認められたが,成長の様式は雌雄でほぼ類似していると考えられた.下顎筋突起に関する部位は雌雄どちらも優成長を示し,ラッコの食性に帰することが示唆された.雄においてのみ乳様突起間幅が優成長を示したのは,雄のテリトリー維持に関係していると考えられた.
- 2003-04-25
著者
-
大泰司 紀之
北海道大学大学院獣医学研究科生態学教室
-
鈴木 正嗣
北海道大学大学院獣医学研究科
-
服部 薫
北海道大学大学院獣医学研究科生態学教室
-
大泰司 紀之
酪農学園大学環境システム学部生命環境学科
-
鈴木 正嗣
兵庫県森林動物研究センター
-
鈴木 正嗣
北海道大学大学院獣医学研究科生態学教室
-
鈴木 正嗣
北大 歯
-
鈴木 正嗣
北海道大学・歯学部・第1解剖学講座
-
大泰 司紀之
北海道大学大学院獣医学研究科生態学教室
-
服部 薫
独立行政法人水産総合研究センター北海道区水産研究所
-
M.BURDIN Alexander
Alaska SeaLife Center
-
大泰司 紀之
北海道大学
-
大泰司 紀之
酪農学園大学環境システム学部野生動物管理学研究室
-
Suzuki M
北海道大学大学院獣医学研究科生態学教室
-
鈴木 正嗣
北海道大学歯学部
-
Suzuki Masatsugu
Laboratory Of Wildlife Biology Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
-
大泰司 紀之
口腔解剖学第1講座
-
服部 薫
(独)水産総合研究センター北海道区水産研究所
-
Ohtaishi Noriyuki
Laboratory Of Wildlife Biology The Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
-
Ohtaishi Noriyuki
Laboratory Of Wildlife Biology Department Of Environmental Veterinary Sciences The Graduate School O
-
Ohtaishi Noriyuki
Department Of Environmental Veterinary Science Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido Unive
-
Suzuki Masatsugu
Laboratory Of Wildlife Biology The Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
-
M.burdin Alexander
Alaska Sealife Center : Kamchatka Institute Of Ecology And Nature Management Russian Academy Of Scie
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