北海道のドブネズミにおけるハンタウイルス感染の流行病学的研究 : 血清疫学的調査とハンタウイルス分離株の抗原性の解析による持続感染の証拠
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概要
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ドブネズミにおけるハンタウイルス感染の流行病学的研究を, 北海道内の1ごみ埋め立て処分場に棲息する感染ドブネズミ集団を対象に実施した. 1983年から1988年まで本処分場で合計11回の調査を継続し, 合計279例のドブネズミを捕獲し, 血清を得た. 抗体陽性例(IFA抗体価1:32倍以上)はいずれの調査時にも得られ, 陽性例は6ヵ月齢以上の成熟例では128例中94例(73.4%)で, 幼若例での151例中23例(15.2%)に比べ有意に高い, 明瞭な年齢依存性の感染が確認された, 抗体陽性ドブネズミの肺組織から1983年には1株(KI-83-262), 1985年には2株(KI-85-1, -2), 1988年には4株(KI-88-4, -11, -15, -24)のハンタウイルスが分離された. 分離ウイルスの感染性は, ウイルス分離例から得られた血清によってin vitroの試験で中和されるにもかかわらず, それらの抗原性は, 分離年次にかかわらず免疫血清や単クローン性抗体を用いたIFA法では全く, また中和試験でもわずかしか変化は認められなかった. 以上の成績からハンタウイルスはドブネズミ中で抗原性を変化させずに持続感染していることが明らかになった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1994-02-15
著者
-
高島 郁夫
北海道大学大学院獣医学研究科公衆衛生学教室
-
苅和 宏明
北海道大学大学院獣医学研究科 環境獣医科学講座 公衆衛生学教室
-
有川 二郎
北海道大学大学院獣医学研究科公衆衛生学教室
-
橋本 信夫
北大獣医公衆衛生
-
橋本 信夫
北海道大獣医学部公衆衛生学
-
橋本 信夫
北海道大学大学院獣医学研究科環境獣医科学講座公衆衛生学教室
-
Hashimoto N
Hokkaido Univ. Hokkaido Jpn
-
有川 二郎
北海道大学大学院医学研究科附属動物実験施設
-
有川 二郎
北海道大学大学院医学研究科附属動物実験施設(大学院比較医学講座)
-
苅和 宏明
北海道大学医学研究科附属動物実験施設
-
苅和 宏明
北海道大学 公衆衛生
-
高島 郁男
北海道大学大学院獣医学研究科公衆衛生学教室
-
高島 郁夫
北海道大学 公衆衛生
-
Karaiwa H
北海道大学医学研究科附属動物実験施設
-
姚 健勝
北海道大学獣医学部公衆衛生学講座
-
伊藤 美樹子
北海道大学獣医学部公衆衛生学講座
-
有川 二郎
北海道大学 大学院医学研究科微生物学講座
-
Hashimoto Nobuo
Department Of Veterinary Public Health Faculty Of Veterinary Medicine Hokkaido University
-
Arikawa J
Hokkaido Univ. Sapporo Jpn
-
高島 郁夫
北海道大学獣医
-
Hashimoto N
Institute For Experimental Animals School Of Medicine Kanazawa Univ.
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