ウシ白血病ウイルス感染腫瘍細胞に対する毒素遺伝子封入陽性荷電リポソームのin vivoにおける抗腫瘍効果(短報)

概要

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毒素遺伝子封入陽性荷電リポソームの, ウシ白血病ウイルス(BLV)感染腫瘍細胞に対する抗腫瘍効果をin vivoで検討した. 陽性荷電リポソームは, N-(α-trimethylammonioacetyl)-didodecyl-D-glutamate chloride(TMAG) dioleoyl phosphatidyl-ethanolamine(DOPE), dilauroyl phosphatidylcholine(DLPC)(モル比1 : 2 : 2)から作製し(TMAGリポソーム), 毒素遺伝子[プロモーター活性を持つBLVのLTRの下流にジフテリア毒素遺伝子を挿入したプラスミドDNA(pLTR-DT)]を封入させた. in vivoにおける抗腫瘍効果は, BLV感染細胞(FLK/BLV細胞)をヌードマウスの皮下に接種し腫瘍を形成させ, 腫瘍内にpLTR-DT封入TMAGリポソームを接種することにより, 腫瘍の増殖がどの程度阻止されるかを調べることにより調べた. その結果, ヌードマウスにおける腫瘍の増殖は, pLTR-DT(20μg)封入TMAGリポソームを複数回接種された群において顕著に抑制された. 一方, pLTR-DTの代わりにpUC18プラスミド(20μg)封入TMAGリポソーム接種群ならびに無処置群においては, 腫瘍細胞の増殖の抑制が認められなかった. これらのことから, 毒素遺伝子封入TMAGリポソームによる, BLV感染細胞に対するin vivoでの遺伝子治療の可能性が示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
1997-07-25