陽性荷電リポソームによるウシ白血病ウイルス感染細胞への毒素遺伝子の導入
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概要
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陽性荷電リポソームが, ウシ白血病ウイルス(BLV)感染細胞への毒素遺伝子の導入に応用可能かどうかを調べた. 陽性荷電リポソームは, N-(α-trimethylammonioacetyl)-didodecyl-D-glutamate chloride(TMAG), dioleoyl phosphatidylethanolamine(DOPE), dilauroyl phosphatidylcholine(DLPC)(モル比1 : 2 : 2)から作製し, 遺伝子を封入させた. ルシフェラーゼアッセイにより, 陽性荷電リポソーム(TMAGリポソーム)によるBLV感染細胞(FLK/BLV細胞)への遺伝子導入効率を調べたところ, TMAGリポソームの遺伝子導入効率は, ホスファチジルセリン(PS)から作製されたリポソームに比べ高い導入効率を示した. さらに, ルシファラーゼ遺伝子とともにプロモーター活性を持つBLVのLTRの下流にジフテリア毒素遺伝子を挿入したプラスミドDNA(pLTR-DT)をTMAGリポソームによりFLK/BLV細胞にco-transfectionし, ルシフェラーゼ遺伝子によるルシフェラーゼ活性が, TMAGリポソームにより導入されたpLTR-DTにより, どの程度阻止されるかを調べることにより, pLTR-DT封入TMAGリポソームの, BLV感染細胞に対する殺傷効果を検討した. その結果, ルシフェラーゼ活性は, pLTR-DTを導入することによりdose-dependentに抑制された. また, pLTR-DTをFLK/BLV細胞に複数回導入すると, FLK/BLV細胞の増殖が顕著に抑制された. さらに, pLTR-DT封入TMAGリポソームを血清あるいは核酸分解酵素と反応させたところ, TMAGリポソームに封入された毒素遺伝子は分解されなかった. これらのことから, 陽性荷電(TMAG)リポソームはBLV感染細胞への遺伝子導入法として優れており, 毒素遺伝子封入陽性荷電リポソームによる, BLV感染細胞の遺伝子治療の可能性が示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1997-03-25
著者
-
渡来 仁
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医学専攻獣医免疫学教室
-
児玉 洋
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医学専攻獣医免疫学教室
-
小沼 操
北海道大学大学院獣医学研究科感染症学教室
-
保田 立二
岡山大学医学部分子細胞医学研究施設
-
保田 立二
岡山大学医学部(附)分子細胞医学研究施設細胞工学部門
-
保田 立二
岡山大学医学部附属分子細胞医学研究施設
-
保田 立二
岡山大学医学部
-
小沼 操
北海道大学獣医学部動物疾病制御学講座感染症学数室
-
塔 娜
岡山大学医学部(附)分子細胞医学研究施設細胞工学部門
-
渡来 仁
岡山大学医学部(附)分子細胞医学研究施設細胞工学部門
-
塔 娜
大阪府立大学農学生命科学研究科獣医免疫学教室
-
小沼 操
北海道大学 大学院獣医学研究科感染症学教室
-
趙 丹丹
岡山大学医学部(附)分子細胞医学研究施設細胞工学部門
-
柿谷 均
大阪府大
-
李 振泰
岡山大学医学部(附)分子細胞医学研究施設細胞工学部門
-
柿谷 均
東ソー(株)東京研究センター・生物工学研究所
-
渡来 仁
大阪府立大学生命環境科学研究科獣医免疫学教室
-
保田 立二
東大医科研
-
児玉 洋
大阪府立大学 農
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