犬のセロトニン受容体(1B,2Aおよび2C)遺伝子の塩基配列決定と1B遺伝子に認められた : 塩基多型の犬種差(動物行動学)
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概要
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セロトニン受容体1B,2Aおよび2C遺伝子に認められる遺伝子多型は,ヒトにおいて攻撃性,損害回避傾向,固執性などとの関連性が示唆されている.犬においても攻撃性や不安といった行動傾向に関わる問題は,飼い主にとっても獣医師にとっても重大な関心事である.本研究では犬においてこうした行動傾向とする多型を検索する目的で,セロトニン受容体1B,2Aおよび2C遺伝子の翻訳領域全長のPCR増幅を試みた.得られた各遺伝子配列は,セロトニン1B受容体遺伝子が1170-bp,2A受容体遺伝子が1413-bp,2C受容体遺伝子が1377-bpであり,10頭のビーグル犬より得られたcDNAをもとに各遺伝子の多型部位を検索したところ,1B受容体遺伝子にのみ翻訳領域57, 157, 246, 660, 955, 1146番目の6ヶ所において一塩基多型(G57A, A157C, G246A, C660G, T955C, G1146C)が認められ,そのうちA157Cはイソロイシンからロイシンヘのアミノ酸置換を伴うものであった.さらに行動特性の異なる5犬種(ゴールデンレトリバー,ラブラドールレトリバー,マルチーズ,ミニチュアシュナウザー,柴)から成る計189頭のゲノムDNAを用いてこれら一塩基多型の発現頻度を犬種別に比較したところ,G246A, C660G, T955CおよびG1146Cの多型については遺伝子型およびアレル頻度のいずれについても有意な犬種差が認められた.これらの結果より,セロトニン受容体1B遺伝子において見いだされた遺伝子多型について解析を発展させることが犬における行動特性の遺伝的背景を理解する上で有用であることが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2004-08-25
著者
-
菊水 健史
麻布大学・獣医・伴侶動物
-
森 裕司
東大・院農学生命・動物行動
-
橋爪 千恵
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
-
菊水 健史
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
-
武内 ゆかり
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
-
森 裕司
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
-
尾形 庭子
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
-
増田 宏司
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
-
森 裕司
京都大学霊長類研究所
-
森 裕司
東工大
-
森 裕司
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
森 裕司
岐阜大学 農
-
武内 ゆかり
東大・動物行動
-
武内 ゆかり
東大・院農・生命科学動物行動
-
武内 ゆかり
岐阜大学 農
-
武内 ゆかり
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
宮崎 幸司
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
-
増田 健一
理研 免疫アレルギー
-
HASHIZUME Chie
Laboratory of Veterinary Ethology, The University of Tokyo
-
森 裕司
東京大学農学部
-
菊水 健史
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
増田 宏司
東京大学 大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
-
Ogata Niwako
Veterinary Behavior Clinic Fau
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