猫の尿マーキングに対する猫頬腺由来フェロモン様物質噴霧剤の治療効果
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概要
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猫の尿マーキング問題36症例について, 猫頬腺由来のフェロモン様合成物質噴霧剤を4週間適用し, 被験猫におけるマーキング行動の変化を調査した.噴霧剤適用前に平均14.2回(範囲;1〜77, 中央値;10)であったマーキング頻度は, 適用1週間後より有意に減少しはじめ, 適用4週間後には平均4.2回(範囲;0〜44, 中央値;2)となった.この効果は噴霧剤使用停止4週間後まで持続した.マーキング回数について適用後に全く認められなくなった症例を完治例, 適応前と比較して50%以下に減少した症例を改善例, それ以外を未改善例として分類すると, 噴霧剤適用4週間後における完治例は37.1%, 改善例は40.0%, 未改善例は22.9%(不明1症例を除く)となり, 77.1%の症例において噴霧剤が有効であったことが判明した.また, マーキング回数の減少について, 同一家庭内において他の猫に対する攻撃性の有無によって症例を分類して比較したところ, 攻撃性を示す猫では噴霧剤の効果は認められるものの, マーキング回数は高いレベルのまま一定化することが明らかとなった.これらの結果より, この噴霧剤が我が国で飼養されている猫における尿マーキング問題の治療に際して有効であることが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2001-02-25
著者
-
武内 ゆかり
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
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尾形 庭子
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
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武内 ゆかり
東大・動物行動
-
尾形 庭子
どうぶつ行動クリニック・fau
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武内 ゆかり
東大・院農・生命科学動物行動
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武内 ゆかり
岐阜大学 農
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武内 ゆかり
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
Ogata Niwako
Veterinary Behavior Clinic Fau
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