精神障害者のTAT(その3) 精神分裂病の場合
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概要
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ある精神分裂病患者(26歳,女子)のTATプロトコルが提示された。13枚中9枚の図版における反応は,絵画刺激に触発されて自らの境遇や思い出などが語られるというものであった。これは,先の第1報で例示した境界例患者の「自我関与反応」と一見似ているが本質を異にするものであるので,それと区別するために「自己言及反応」と呼称された。境界例患者に見られた「自我関与反応」は,患者の「投影」や「投影性同一視」の機制に基づく自我境界の拡散化を反映すると考えられるのに対して,「自己言及反応」は,眼前のかかわるべき現実から漸次脱備給して自己の体験世界に没入・沈潜していくという点で,精神分裂病患者の心性になじみ深いものといえよう。The TAT responses of a schizophrenic female aged 26 were presented.In nine cards out of thirteen,her own memories concerning her case history were narrated under the stimulus of each picture.Such a style of response was named the“self referent response,”which was essentially different from the“ego involvement response”made by borderline patients.The former seemed to be characteristic of schizophrenics in that it meant the response removed from the stimulus and thus implying the decathexis from reality.The latter was interpreted as a reflection of the patient's ego boundary diffusion by such mechanisms as“projection”andor“projective identification.”
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