ある「やくざ」少年の自我同一性
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概要
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種々の行動障害と家族病理との関係を具体的な事例に即して探究し,わが国におけるその現代的諸相を明らかにしていくことが,筆者の昨今の研究テーマのひとつであるが,今回はその一環として,エディプス葛藤を基底に持つ,ある「やくざ」少年の鑑別例を提示し,これまで同様,心理検査所見等を適宜援用しながら詳細な事例分析を行った。事例の概要を述べれば,養父のいわゆる継子扱いに僻みを抱いて育った少年が,自らの出生の秘密を実母から告げられてのち経済的自立を目指して住込就労中,交通事故を起こして長期入院を余儀なくされ,その挫折体験を転機として「やくざ」に身を落した,というものであり,そのような少年の生活史を,Erikson,E.H.の「自我同一性」の観点から跡づけ,再構成することに重点を置いて考察を遂げた。It is one of my recent subjects of research to clarify the relation between various types of behaviour disorders and family psychopathology by case study method.As a part of it,in this paper a case of a delinquent boy committed to YAKUZA(Japanese violent gang)was presented and analyzed in detail.The outline of this case was as follows:A boy,cold-shouldered by his adoptive father,grew up with the jaundice against that and knew the truth of his own birth.He intended to become independent of his parents,but unfortunately a motor accident compelled him to be hospitalized.This collapse becoming a turning point,he went the length of committing himself to YAKUZA.The discussion centered on tracing and recomposing his personal history mainly from a viewpoint of“ego identity”advanced by E.H.Erikson.
- 大阪教育大学の論文
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