発振器の結合系における大自由度カオス

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本研究では、N×Nサイズの格子状に結合された非線形振動子系のカオス的振舞いの計算機シュミレーション結果について述べる。まず初めに、この結合発振器系のダイナミクスを式(1)のように表すことができる。この方程式は振動する反応拡散系から得られるGL方程式と等価である。dX_<i,j>/(dt)=X_<i,j>-(X_<i,j>^2+Y_<i,j>^2)(X_<i,j>-βY_<i,j>)+D[X_<i-1,j>+X_<i+1,j>+X_<i,j-1>+X_<i,j+1>-4X_<i,j>-α(Y_<i-1,j>+Y_<i+1,j>+Y_<i,j-1>+Y_<i,j+1>-4Y_<i,j>)] (1a) dY_<i,j>/(dt)=Y_<i,j>-(X_<i,j>^2+Y_<i,j>^2)(βX_<i,j>+Y_<i,j>)+D(Y_<i-1,j>+Y_<i+1,j>+Y_<i,j-1>+Y_<i,j+1>-4Y_<i,j>+α(_<i-1,j>+X_<i+1,j>+X_<i,j-1>+X_<i,j+1>-4X_<i,j>)] (1b)α,β,Dは実数であり、インデックスi,j=1,...,Nは、振動子の位置を表す2次元座標である。また、結合系の境界条件は、zero・flux type、すなわちX_<0,j>=X_<1,j>,X_<i,0>=X_<i,1>,X_<N+1,j>=X_<N,j>,X_<i,N+1>=X_<i,N>,Y_<0,j>=Y_<1,j>,Y_<i,0>=Y_<i,1>,Y_<N+1,j>=Y_<N,j>,Y_<i,N+1>=Y_<i,N>で与えられるものとする。Dは、結合の強度をコントロールするパラメーターで、式(1)の右辺第1項、第2項は、振動子の自発的な運動部分を、第3項は、他の振動子からの影響の総和を表す。一般に力学系においてパラメーターが変化すると安定な不動点が不安定化し周期的な振動を開始するHopf分岐なる現象がよく見られるが、式(1)はHopf分岐の近傍における一般形である。まず、この結合系はD=0のとき各々の振動子が純正弦波の解を持ち、一般に次のような定常解を持つことが容易にわかる。X_<i,j>=cos(βt-φ_0) (2a) Y_<i,j>=-sin(βt-φ_0) (2b) 次に、Dを次第に増加していくと、初めは周期的であった式(2)のような運動から、カオスが発生する。本研究では、このような分岐過程を計算機シミュレーションにより確認する。カオスの診断法として、パワースペクトルとポアンカレマップを採用しているが、ポアンカレマップは状態変数をx=(x_<1,1>,Y_<1,1>,...,X_<N,N>,Y_<N,N>)∈ R^<2N^2>として、この空間内に超平面П:a・ξ=b(a,∈ξR^<2N^2>,b∈R^1)を仮定し、この超平面と解軌道との交点を考えている。ここでは、a=(1,1,...,1),b=0とした。
社団法人電子情報通信学会の論文
1995-03-27

発振器の結合系における大自由度カオス

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