ピッチ周波数制御型人工喉頭の提案とその評価

概要

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喉頭摘出者のための代用発声法は古くからあり,いくつかは実用されている.しかし,いずれも修得に長期間を要したり,音質が極めて不自然であるなど残された課題が多い.我々は,修得の容易な電気式人工喉頭に着目し,その音声に自然性を付与する方法を模索してきた.本研究では,音声の自然性に最も大きく寄与するイントネーションを作り出す方法として,ポテンショメータを指で回す方法,指で圧力センサを押す方法,喉頭摘出者の前頚部に開けた気管孔から得た呼気圧を用いる方法の三つでピッチ周波数を制御させた.どの方法で自然な音声が生成されるかを調べた結果,呼気圧制御法で最も自然性が高くなることを明らかにした.また,呼気圧による音の高さの制御能力を4人の健常者と16人の喉頭摘出者とで比較した結果,健常者の方が制御能力は優れていたが,代用音声に呼吸を利用している被験者でも十分制御が可能であることを示した.更に,呼気圧でピッチ周波数を制御する電気式人工喉頭を試作し,喉頭摘出者に使用してもらった結果,短期間の訓練で健常者音声と同様のイントネーションを作り出せることを確認した.
社団法人電子情報通信学会の論文
1995-03-25