声調強調による中国人難聴者の語音弁別

概要

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中国語音声では声調が言語理解に極めて重要な役割を果たしており, 同じ音素構成でも, 声調型が違えば全く異なる意味を持つ。そこで, 我々は, 中国語を母国語とする難聴者の単語弁別能力を上げることを目的として, 声調強調という新しい音声強調加工方法を提案している。本報告では, 中度および重度中国人感音性難聴者で, 声調強調が語音識別に与える影響を調べた結果を示した。まず, 同じ音素構成で声調の違う単語を中国語話者により発声し, その発話のピッチ周波数パターンを抽出した。そしてそれぞれのパターンの変化幅を拡大または縮小したのち再合成した音声を難聴者に聞かせ、その声調を答えさせることにより, このような加工方法が語音の識別に与える影響を調べた。その結果, 変化幅の拡大, つまりイントネーション変化の強調が音声を聞きやすくし, 難聴者の声調識別率を向上させることがわかった。また実験結果から, 声調が曖昧に発生された音声で特にこのような強調加工方法が有効であることが示唆された。
2000-03-09