泡盛醸造における原料米からのフェルラ酸の遊離

概要

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焼酎の重要な香味成分であるフェルラ酸の泡盛醸造における原料米からの遊離について調べた.製麹工程では,オリゴ糖結合型フェルラ酸の生成が認められたが,遊離型フェルラ酸は検出されなかった。また,蒸煮米に泡盛麹菌酵素とメイセラーゼを同時に作用させてもフェルラ酸の遊離量は微量であった.モロミ中のオリゴ糖結合型フェルラ酸量は発酵初期に増大し,その後減少に転じたが,遊離型フェルラ酸量は発酵期間を通じて低い値を示した.米麹を酵母無添加で発酵を行っても,オリゴ糖結合型フェルラ酸の増大が認められたが,遊離型フェルラ酸量は微量であった.オリゴ糖結合型フェルラ酸は嫌気条件下で酵母によって資化分解されたが,フェルラ酸の増大は認められなかった.さらに,同オリゴ糖は,静止酵母によって分解され,これに伴いフェルラ酸の遊離が認められた.しかし,泡盛麹菌FEによる同オリゴ糖の分解は認められなかった.以上のことから,モロミ中のオリゴ糖結合型フェルラ酸は,泡盛麹菌FEの基質になり難く,主として酵母によって資化分解されるものと考えられた.
社団法人日本生物工学会の論文
2002-12-25