証拠の蓄積が形成する信念論理に基づく知識獲得

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人工知能では近年,信念の取り扱いが一つの焦点である.中でも論理に基づく形式的方法(知識と信念の様相論理など)と測度に基づく数値的方法(ベイズ理論やDempster-Shaferの証拠理論)が研究されており,それぞれ一長一短がある.前者は既成の知識や信念の集合からの推論を扱うことができる.しかし,知識や信念自体の形成過程を設明できない.一方,後者はベイズ規則やDempsterの結合規則などで信念形成を設明する.しかし,推論との関係はあまり明白でない.最近,我々はDempster-Shaferの証拠理論(以下,D-S理論と略す)に基づく様相論理の有限モデルを構成し,いくつかの様相論理体系との健全性と完全性を証明した.この結果は証拠の蓄積が知識や信念の論理と密接に関係することを示し,論理的枠組の中での信念形成と知識獲得の実現可能性を示唆する.本研究では,我々は日常得られる様々な証拠に基づいて信念を形成し,確実性のある信念を知識として我々の認識体系に組み込んで行くという観点に立ち,証拠の蓄積による信念形成および知識獲得を定式化する.第2章では本研究で定式化する知識獲得の考え方を述ベ,第3章でその定式化に必要な可能世界限定モデルを設明する.第4,5章ではそれぞれ,可能世界限定モデルにおける信念形成と知識獲得について論じる.
一般社団法人情報処理学会の論文
1993-03-01

証拠の蓄積が形成する信念論理に基づく知識獲得

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