Fusarium merismoidesのある菌株による2-ブチン-1,4-ジオールの利用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
種々なアセチレン化合物が担子菌類や高等植物の種子などにふくまれている. しかしながらアセチレン化合物の代謝に関しての報告は少い. 私共は土壌から分離した無胞子の桿菌BD34が唯一の炭素源として2-ブチン-1,4-ジオールを利用し, γ-ハイドロキシテトロリン酸とジブチルフタール酸とを生成することをすでに報告した. ただしBD34菌株の2-ブチン-1,4-ジオールを利用する能力は非常に弱かった. そこでアセチレン化合物の代謝を研究するために, 2-ブチン-1,4-ジオールの高い濃度で生育し得る菌株を分離することを試みた. 土壌から分離されたB11菌株は3%濃度の2-ブチン-1,4-ジオールでよく生育した. この菌株は種々は菌学的性質からFusarium merismoidesの一菌株と同定された. このものは1%のブチン-1,4-ジオールを炭素源とした培地で100ml中320mgの乾燥菌体を生成した. またこの培地中いくつかの酸と中性物質としてマンニトール(収率5.5%)を生産した. この菌株は試験したアルコールの中, エタノール, 1,2-エタンジオール, 1,2-, 1,3-プロパンジオール, 1,3-, 1,4-, 2,3-ブタンジオール, 1,6-ヘキサンジオール, グリセリンを炭素源としてよく利用した. n-プロパノール, n-ブタノール, 1,2-ブタンジオール, 1,2,4-ブタントリオールでは生育がみられなかった. 不飽和のアルコールの中では2-ブチン-1,4-ジオールのほか3-ブチン-1-ジオールのみに生育がみられた. 酢酸, コハク酸, プロピオン酸, β-ハイドロキシプロピオン酸は生育を示したが, マロン酸では生育はみられなかった. 2-ブチン-1,4-ジオールの代謝系の中間物質と思われるアセチレンモノカルボン酸, アセチレンジカルボン酸の0.2%の培地で生育を示した. なお1,2-エタンジオール, フマール酸, アクリル酸からそれぞれグリコール酸, リンゴ酸, β-ハイドロキシプロピオン酸を生成した.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1974-06-25
著者
関連論文
- Alcaligenes faecalis var. myxogenes 10C3 mutant Kによる加熱凝固性多糖類の生産
- 206. 微生物による熱凝固性多糖類の生産
- 酵素試験紙法の1つの応用 : アリルスルファターゼ生成に関してのタイプの異った細菌の分離
- 34. 酵素試験紙法を応用しての細菌の分離 (昭和37年度 日本醗酵工学会大会講演会研究発表要旨(40周年記念))
- Klebsiella aerogenesによるスルファターゼの生成
- 土壌細菌による1,4-ブタンジオール, 1,3-ブタンジオールから新化合物O-4-ハイドロキシブチルホモセリンとO-3-ハイドロキシブチルホモセリンの生成
- 224. 微生物によるエタノールの利用と代謝
- Corynebacterium acetophilum新菌種による酢酸からグルタミン酸の生成
- Pseudomonas deramosa SB15 およびその変異株によるグルコース, マルトース, α-グルカン類に対してのイソアミラーゼの生産と生育
- Pseudomonas SB 15の細胞内α-グルコシダーゼ
- 正常な生育にグリセリンを要求するAlcaligenes faecalis var. myxogenesのサクシノグルカン生成能
- Alcaligenes faecalis var. myxogenes によるサクシノグルカンの合成培地での培養生産と休止菌体による生産
- ある無胞子土壤細菌によるエチレングライコールより菌体および多糖類の生産
- 特殊合成化合物に対する微生物の作用能力
- 微生物能力開発の酵素レベルにおける考察
- 『酵母における適応と制御』, 長谷川武治編, 東京大学出版会発行
- インドネシアのRagiから分離したEndomycopsis fibuligeraの同定およびその結晶グルコアミラーゼの性質
- タイ国のMould Bran(Look Pang)から分離されたEndomycopsis fibuligeraの菌株のグルコアミラーゼ
- Penicillium purpurogenum W59によるトリプトファンから赤色色素の生成
- Torulopsis candidaによるDL-α-ハイドロキシニトリルからL-ハイドロキシ酸の生成
- グルコース培地においてTrichodermsの一菌株によるサリチル酸からゲンチジン酸, メタおよびパラハイドロキシ安息香酸からプロトカテキン酸の生成
- 食酢醸造用酢酸菌の変異株について
- 石油資源と醗酵
- 石油資源と醗酵
- Alcaligenes faecalis var. myxogenesの菌体懸濁液によるSuccinoglucan 10C3とβ-Glucan 10C3Kの生成
- 微生物多糖類の生産と応用
- 微生物定量報による澱粉質食品中のリジン定量について
- ある細菌が尿中に繁殖してリグニンを赤くする現象に就て〔第6報〕-星色機構とリグニンの構造に関する知見-
- Fusarium merismoidesのある菌株による2-ブチン-1,4-ジオールの利用
- 213 Fusarium sp.によるブチンジオールの利用
- 406 ブチンジオール利用菌株によるアクリル酸からの生産物(ポリハイドロキシポリカルボン酸)とその代謝
- 237 基質依存性特殊化合物の生成 : 基質としてのブチンジオール,トリプトファン
- ある細菌による2-ブチン1,4-ヂオールからγ-ハイドロキシテトロン酸の生成
- 土壌細菌によるアルキルエーテル化合物の利用
- 217 微生物による種々なエーテル化合物の利用
- Corynebacterium の菌株の菌体懸濁液によってα-アミノニトリルからアミノ酸の生成
- Corynebacterium acetophilum A51のホモセリン要求株による酢酸からL-リジンの生成
- Alcaligenes faecalis var. myxogenes 10C3の親株, 変異株によるサクシノグルカンとカードランの生成
- 1, 2-プロピレングリコールの微生物による利用
- Rhodotorulaの生産する細胞外多糖の構成糖について
- Aerobacter aerogenesのフェノールスルファターゼ
- カードランのゲル化について
- Enterobacteriaceaeのフェノールスルファターゼ生成因子の濃縮
- 微生物によるプロパルギルアルコールの酸化
- 微生物による生産と反応の特色について
- 特異な微生物の能力とその開発
- マロン酸エチル法による糖の比色定量
- 微生物のフェノールスルファターゼ(アリルスルファターゼ)
- Enterobacteriaceaeのフェノールスルファターゼ生成未知因子について
- Streptococcus alcalophilusの生育及びフェノールスルファターゼ生成に対する栄養要求
- 或る細菌が尿中に繁殖してリグニンを赤くする現象に就て : (第9報)該連鎖状球菌の菌種決定と命名
- 微生物のフェノールスルファターゼの検出法とその酵素の多樣性
- ある細菌が尿中に繁殖してリグニンを赤くする現象に就いて : (第8報)微生物による尿インヂカンの加水分解