土壌細菌によるアルキルエーテル化合物の利用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大量のジ-, トリ-, ポリ-エチレングリコール, エチレングリコールモノメチルおよびモノエチルエーテルが世界各国で生産されている。エチレングリコールはいくつかの微生物によって分解を受けることが知られているが, これらの化合物は化学作用や微生物の作用を受けにくいものと見られている。したがって微生物でこれらの化合物を完全に分解処理することを研究することは環境浄化の点よりきわめて重要である。まず私共は1%のエチレングリコールモノメチルエーテル, 3%のトリエチレングリコール, 3%のポリエチレングリコール(分子量400), 0.2%のO-エチルホモセリンをそれぞれ唯一の炭素源として生育できるMC11,TE8,PE18,OEH8菌株を土壌あるいは活性汚泥から分離した。最初の3菌株はAlcaligenesに, OEH8はCorynebacteriumに属した。MC11とTE8はエチレングリコールモノエチルエーテル, トリ-, テトラ-, ポリエチレングリコールを炭素源としてよく生育し, エチレングリコールモノメチルエーテルに対してはMC11のみがよく利用した。グルコース培地では生育できないPE18はトリ-, テトラ-, ポリ-エチレングリコールに対してのみよい生育を示した。OEH8は試験したエーテル化合物の中でO-エチルホモセリンのみを利用した。O-エチルホモセリンはMC11,TE8,PE18によって唯一の炭素源とならなかった。MC11あるいはTE8のエチレングリコールモノメチルあるいはモノエチルエーテルを炭素源として生育した培養液からそれぞれ生産物としてメトキシ酢酸とエトキシ酢酸とが分離同定された。なお天然に存在するアルキルエーテル化合物であるO-エチルホモセリンを利用できるOEH8は試験したいかなる化学的に合成したエーテル化合物を利用できない一方, 種々な合成エーテル化合物を利用できる他の3菌株はO-エチルホモセリンを利用できないことからして, アルキルエーテル化合物の微生物による利用において, 天然のものと, 化学的に合成したものの間に, それらの代謝と分解に関し関連がないようである。
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1975-04-25
著者
関連論文
- Alcaligenes faecalis var. myxogenes 10C3 mutant Kによる加熱凝固性多糖類の生産
- 206. 微生物による熱凝固性多糖類の生産
- 酵素試験紙法の1つの応用 : アリルスルファターゼ生成に関してのタイプの異った細菌の分離
- 34. 酵素試験紙法を応用しての細菌の分離 (昭和37年度 日本醗酵工学会大会講演会研究発表要旨(40周年記念))
- Pseudomonas deramosa SB15 およびその変異株によるグルコース, マルトース, α-グルカン類に対してのイソアミラーゼの生産と生育
- ある無胞子土壤細菌によるエチレングライコールより菌体および多糖類の生産
- 特殊合成化合物に対する微生物の作用能力
- 微生物能力開発の酵素レベルにおける考察
- 『酵母における適応と制御』, 長谷川武治編, 東京大学出版会発行
- インドネシアのRagiから分離したEndomycopsis fibuligeraの同定およびその結晶グルコアミラーゼの性質
- タイ国のMould Bran(Look Pang)から分離されたEndomycopsis fibuligeraの菌株のグルコアミラーゼ
- Penicillium purpurogenum W59によるトリプトファンから赤色色素の生成
- Torulopsis candidaによるDL-α-ハイドロキシニトリルからL-ハイドロキシ酸の生成
- グルコース培地においてTrichodermsの一菌株によるサリチル酸からゲンチジン酸, メタおよびパラハイドロキシ安息香酸からプロトカテキン酸の生成
- 食酢醸造用酢酸菌の変異株について
- 石油資源と醗酵
- 石油資源と醗酵
- Alcaligenes faecalis var. myxogenesの菌体懸濁液によるSuccinoglucan 10C3とβ-Glucan 10C3Kの生成
- 微生物多糖類の生産と応用
- 微生物定量報による澱粉質食品中のリジン定量について
- ある細菌が尿中に繁殖してリグニンを赤くする現象に就て〔第6報〕-星色機構とリグニンの構造に関する知見-
- Fusarium merismoidesのある菌株による2-ブチン-1,4-ジオールの利用
- 213 Fusarium sp.によるブチンジオールの利用
- 406 ブチンジオール利用菌株によるアクリル酸からの生産物(ポリハイドロキシポリカルボン酸)とその代謝
- 237 基質依存性特殊化合物の生成 : 基質としてのブチンジオール,トリプトファン
- ある細菌による2-ブチン1,4-ヂオールからγ-ハイドロキシテトロン酸の生成
- 土壌細菌によるアルキルエーテル化合物の利用
- 217 微生物による種々なエーテル化合物の利用
- Rhodotorulaの生産する細胞外多糖の構成糖について