ランえそ斑紋ウイルス (Orchid Fleck Virus:OFV) の形状と細胞内所見
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概要
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ランえそ斑紋ウイルス (OFV;新称) が Angulorea, Cymbidium, Dendrobium, Odontoglossum, Oncidium, Pescatorea など各種のランから見出された。OFVはいずれのランでも全身的えそ斑紋病徴を現わし, 30C以上の高温時に汁液接種すると, タバコ, Nicotiana glutinosa, Chenopodium amaranticolor などに局所壊死斑を生じた。OFV 粒子はOsO_4 固定を追加した改変 DN 法で病斑組織から検出できた。また, 病葉磨砕汁液を TritonX-100処理したのち分画遠心して部分純化された。部分純化試料は多量のOFV粒子を含み, Dendrobium などに高い感染性を示した。OFV 粒子は被膜のない短桿形で, ネガティブ染色試料では約40×150nm, ピッチ約4.5nmのらせん capsid 構造を示したが, 切片試料では32-35×100-140nmとやや小さく測定された。OFVの細胞内所見を切片像で調べたところ, まず核内 Viroplasm ができ, それが次第に発達しその周囲と内部に OFV 粒子が産生集積し, 次いで核内に充満した粒子が核膜に続く膜系のルートで細胞質に移行することが多数の電顕像から推察された。この細胞内所見と一致する膜に囲まれた粒子集団の像や一端が膜に吸着された粒子の像などは DN 法によるネガティブ染色試料でも認められた。なお, 感染細胞は最終的には壊死し, 崩壊した膜系に包まれた OFV 粒子集団が細胞内の随所に認められた。以上の結果から, OFV は被膜をもつ rhabdovirus グループには属さない新しいグループのウイルスと考えられる。また、電顕所見よりみて、Dendrobium の leaf spot virus (Petzold, 1971), Phalaenopsis の leaf spot virus (Lesemann and Begtrup, 1971), コーヒーの ringspot virus (Kitajima and Costa, 1972), ならびにカンキツの leprosis virus (Kitajima and Costa, 1972) は OFV と同種または同系統のウイルスと考えられる。
- 1976-04-25
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