3次元地形データを用いた考古学的仮説の実験的検討 (<特集>人文科学とコンピュータ)
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概要
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考古学において地理情報は研究の基軸をなす情報である. 遺跡の位置や遺物の出土地など地理情報は従来から記録されてきた. それらの多くは, 所在地名などのテキスト情報か, せいぜい分布図程度の取扱いにとどまっている. 一方, 3次元地理情報の導入は, その測定が難しいことや膨大なデータ量と処理時間が必要となることから例外を除いて一般化していない. しかしながら, 3次元地理情報処理に関する技術環境が昨今著しく進歩するとともに, 3次元の地勢データや地図データも容易に入手できるようになった. いよいよ考古学研究に3次元地理情報を活用する時代になったといえる. 本稿では, 3次元地形データを用いて高地性集落遺跡と呼ばれる遺跡についての仮説の検証を試みる. 高地性集落は弥生時代の集落遺跡の1つであり, その用途について, 古代のノロシ通信施設であったとする仮説がある. この仮説に対して, 3次元地形データを用いてコンピュータ内に地形空間を生成し, 生成した地形空間上で2遺跡間が可視かどうかを判定するシミュレーションを行う。また, 一部の遺跡群について行われた考古学者によるノロシ通信のフィールド実験と本シミュレーションとの対比を行う. シミュレーションの結果から即, ノロシ通信が可能であったかどうかを結論づけるものではないが, 仮説に対する1つの傍証を与えることができる. シミュレーションに先立ち, 高地性集落遺跡のデータデース化を行った. データベースの概要についても簡潔に紹介する.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1999-03-15
著者
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