大阪府内学校管理下における事故災害に関する調査研究1:年次推移とその内容の分析
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概要
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今日,学校安全教育並びに安全教育の充実強化が図られているにも拘らず,青少年の事故災害は年々増加の傾向にある。このような現状に鑑み,これが事故防止対策の要諦模索に資することを目的とし,大阪府下小中高の児童生徒を対象に,学校管理下における事故災害の年次的推移とその内容の分析を行い,大略以下に示すような結果を得た。1)全被災率は,各校種共年々増加の傾向にあり,その増加の割合は中学校において最も高い。2)そのような推移の中で昭和47年はその前後の年に比して被災率が異常に高い特異現象がみられ,高等学校を除いて有意差がみられた。3)男女別にみた被災率は,各校種共,例年男子は女子に比して著しく高く,その男女差は校種が上に進む程大きい。しかし,その男女差は各校種共逐年的に小さくなる傾向があり,特に高校でその傾向が著しい。4)被災率の上昇要因の中で大きな比重を占めているのは,小学校では休憩時間中の校舎内での事故と体育授業中における事故であり,中・高校では,主に体育の課外活動における事故である。又被災部位については,いずれも上肢および下肢の骨折と捻挫が主体をなしている。5)以上の結果から,小学校では遊びの中の事故発生が多い事実から,彼らに基本的な安全教育を根気よく徹底させる事及び環境の安全整備が最も重要な課題である。一方,中・高校生に対しては,体育的課外活動が事故発生の主体をなしていることから,彼らが激しい運動競技に耐えうるような心身の「行動体力」を平素から充分養うことにより,かなりの事故発生を防止することが可能であると信ずる。The annual transition (mainly 1971-1979) and details of occurrence of accidents among pupils of elementary, middle and high schools in Osaka Prefecture during the school hours were analyzed. The results obtained are summarized as follows: 1. The rate of accident showed a tendency to increase year by year in every kinds of schools, and found to be highest in middle school. 2. Through such annual transition of accidents, however, 1972 showed the significant abnormally high accident rate in elementary and middle schools in compared with the preceding or following year. 3. There was found some sex difference of pupils in the occurance rate of accident. The rate showed more higher value in male pupils than in female ones in every kinds of schools. The difference became much greater as the age advanced, but showed a tendency to become much less year by year. The latter phenomenon was markedly recognized in high schools. 4. The main items that occupied such increase of accident rate were due to (a) the accident occurred at the recess time inside of school buildings and (b) that happened during the school hours of physical education in elementary schools and that occurred during the extracurricular athletic activities in middle and high schools. The major damages in the cases mentioned above were the fracture and sprain of pectoral and pelvic limbs. 5. From the fact that the accident of elementary school children occurred frequently during the recess time, it can be proposed as a prime important matter that a basic safety training should be given the children as much as possible together with providing the safe environmental condition. Further, it would be suggested as to how pupil's accident in middle andhigh schools is prevented that constant development of behavioral fitness, both physical and mental, by which they can be tolerable to violent physical motions should be cultivated in ordinary days.
- 大阪教育大学の論文
- 1982-01-31
著者
-
上延 富久治
大阪教育大学保健学教室
-
山本 信弘
大阪教育大学養護教諭養成課程
-
山本 信弘
大阪教育大学教員養成課程保健体育教育講座教育保健学専修
-
上延 富久治
大阪教育大学
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吉村 由美
大阪教育大学保健学教室
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神野 すずみ
大阪教育大学保健学教室
-
杉本 博子
大阪教育大学保健学教室
-
山下 晴之
大阪教育大学保健学教室
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